日本市場投入相次ぐ「電動ショベル」、高価格ともう一つの欠点
2024年は建設機械各社の電動ショベル開発が一層加速した。コマツは4月にフランスで開かれた国際建設機械見本市で、2トンと2・5トンの電動ミニショベルの試作機を出展。これとは別に、水素混焼可搬式発電機のコンセプト機も開発した。ボルボ・グループ・ジャパン(東京都港区)は、欧米で発売済みの20トン電動ショベルを日本市場に投入した。日立建機も5トン、8トン、13トンの電動ショベルと可搬式充電設備を9月に発売。電動化市場で先行するのは欧州だが、日本でも足並みがそろいつつある。 【写真】コマツの電動ショベル 欧州で電動化が進む背景には、環境意識の高さや北欧などでの電力料金の安さに加え、行政による補助金の後押しがある。ただ日本でも23年10月に、国土交通省による「GX建設機械認定制度」がスタート。同年12月にコマツやコベルコ建機、竹内製作所などの15機種が認定された。 24年4月に環境省が立ち上げた補助事業では民間事業者がGX認定建機を購入する場合、標準的なディーゼルエンジンショベルとの価格差の3分の2を補助する。同ショベルと比べて電動ショベルの価格は約3倍と言われ、補助制度で価格面の割高さは解消する。 一方で、電動ショベルのもう一つの欠点である稼働時間や充電時間のネックは依然残る。コマツは電動マイクロショベルの動力源にホンダ製の可搬式着脱バッテリーを採用。10月に発売した酒井重工業の電動ハンドローラーも同電源を採用している。日立建機は1・7トン級の電動ミニショベル開発で米ディマーグ(カリフォルニア州)と協業。自社のミニショベルにディマーグの電動化システムを組み込み、25年4月に独ミュンヘンで開く国際建設機械見本市に出展する予定だ。このショベルも稼働中に電池残量が少なくなると、新電池に付け替えて作業を続けられる。 排ガスゼロや静音性で魅力のある電動ショベルだが、工事現場での使用は限られる。充電インフラをどうするかが今後の課題になっている。