「辰巳天井」となるのか 強まる「金利のある世界」 2025年巳年の日本経済【2025年ニュース展望】
「金利のある世界」広がりの影響は
日銀による追加利上げが行われれば、「金利のある世界」は一層広がることになる。 2024年は日銀の利上げを受けて、住宅ローン金利変動型でも上昇の動きが出てきた。 預金金利も引き上げられる傾向が強まっているが、この先の利上げは家計にどういう影響を及ぼすだろうか。 追加利上げが行われ、長短金利水準が上昇した想定での年間家計への影響の試算を、みずほリサーチ&テクノロジーズが行った。 政策金利が0.25%引き上げられるケースでみると、全世帯平均では、家計にプラスとなる預金金利の増加分が約2万7000円となり、マイナスとなる住宅ローンの利払い負担増の約1万6000円を上回る。 ただ、住宅ローンを抱える世帯の平均でみると、30代では、預金金利の増加分が約8000円なのに対し、住宅ローン金利の増加分が約9万8000円、40代では、それぞれ約1万2000円、約7万円となって、預金金利増加のメリットで住宅ローンの負担増を補えなくなる傾向が見てとれる。 その先、政策金利がさらに0.25%上がって、追加の引き上げ幅があわせて0.5%になるケースだと、全世帯平均では、預金金利の増加分が約3万8000円、住宅ローンの負担増は約2万4000円となる。住宅ローンを抱える世帯の平均では、30代で、預金金利の増加分が1万4000円、住宅ローン金利の増加分が約15万2000円、40代では、それぞれ約1万9000円、約10万9000円になるという。 「金利のある世界」の広がりは、将来の資金計画や運用の選択肢をめぐる家計での見直しが一段と進む契機になる可能性がある。
実質賃金はプラス定着できるか
物価高が長引くなか、賃上げペースは物価上昇に追いついておらず、消費に力強さが欠けるのが現状だ。 2024年11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の前年同月比の伸び率は2.7%と、39カ月連続で上昇し、「令和の米騒動」の余波が続くコメ類は63.6%と過去最大の上げ幅となった。 帝国データバンクの調べでは、2025年の食品値上げは1~4月の4か月間だけで6121品目にのぼり、平均の値上げ率は18%と、2024年を上回る見通しだ。 連合が集計した2024年春闘の賃上げ率は平均で5.10%と、33年ぶりの高い水準となったものの、2024年6月と7月にいったんプラス転換した実質賃金は、再びマイナス圏に沈んで推移している。 賃上げ加速を通じ、実質賃金のプラス定着を確実なものにできるかが、消費の先行きを占う重要なカギとなる。
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