「カシオペア」や「北斗星」は?…引退が予想される“昭和を支えた”列車たち
引退した車両には、地方私鉄に買い取られて新天地で活躍しているケースもあります。 渋谷駅ハチ公前に展示されている東急5000形は、乗ったことはなくても目にしたことがある人も多いのでしょう。“青ガエル”の通称で親しまれた5000形は、熊本電鉄に引き取られて、現在でも現役車両として活躍しています。 成田エクスプレス253系も引退しましたが、2011年から長野電鉄「スノーモンキー」として走っています。 鉄道車両の新天地は、国内だけではありません。先ほど触れた寝台特急「富士・はやぶさ」は、引退後に海を渡ってマレーシアで活躍しています。また、アルゼンチンでは旧営団地下鉄丸の内線500形が走っています。
鉄道車両の耐用年数は、一般的に25~40年が目安といわれます。新幹線のように長距離を走ったり、山手線のように運転回数が多い車両は、比較的に寿命が短い傾向にあります。また、新しい車両を頻繁に導入する社風の会社もあるので一概には言えません。 平成も26年を迎えます。近年、昭和を走った鉄道車両は続々と引退し、現役車両の多くは平成生まれが占めています。引退発表で騒がれた「トワイライトエクスプレス」は、昭和な雰囲気を残していると形容されますが、実は平成元年生まれです。 数少ない昭和を走った列車で、引退が囁かれているのが南海電鉄20000形「こうや」です。「こうや」は昭和然としたレトロな外観ですが、登場から30年以上が経過しました。現在、運行終了は発表されていませんが、そろそろ声がかかりそうな気配です。
昭和感を漂わせる列車が消える一方で、最近はSLの復活が相次いでいます。JR釜石線では、今年4月からSL「銀河」が運行を開始しました。SL「銀河」の車両は、一度引退して公園に展示されていましたが、修理を施されて現役車両として復活しました。 古い車両の技術や伝統を継承しながら、鉄道車両はスピード性能や省エネ技術を向上してきました。日本は世界をリードする鉄道大国であり、今後も素晴らしい列車が登場することは間違いありません。鉄道ファンだけではなく、たくさんの人に長く愛される列車の登場を期待したいものです。 (小川裕夫=ライター)