50歳以上の男性の5%は”ヤバい”糖尿病にかかっている…あなたは大丈夫?健診票の尿検査を「正しく」読む方法
毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。 『健診結果の読み方』連載第30回 『最新研究で判明! 「お酒を飲まなくても肝臓がんになる」…30歳以上の世代に忍び寄る”新たな肝臓病”の存在』より続く
検尿の精度
健診の定番に「検尿」があります。朝、自宅で紙コップに尿を入れ、プラスチックの醤油入れのような容器に吸い取り、受付で提出するという、例のやつですが、検査項目は「尿糖(GLU)」「尿潜血」「尿蛋白」の3項目です。このうち尿糖と尿蛋白は、職場健診の必須項目となっています。この項では、尿糖を見ていきましょう。 検査方法は「試験紙法」と呼ばれるもので、リトマス試験紙のような紙片の先端を、提出された尿に浸けるというものです。すると尿中の糖濃度に応じて、試験紙の色があっという間に変化します。これを色見本と見比べて、-、+-、+(1+)、++(2+)、+++(3+)の5段階で判定するのです。-は「陰性」、+-「要注意」、1+は「少し多め」、2+と3+は「多い」です。言うまでもなく3+がいちばん“ヤバい”ということになります。 普通は検査技師などが目で見て判定しますが、正確さを欠くという理由から、専用の機械で読み取らせているところもあります。とはいえ試験紙のメーカーによって感度が違うなど、あまり精度の高い検査とは言えません。
数値を測る尿糖検査
しかも「多い」「少ない」といっても、定量性はなく、あくまでも定性的な、その意味で参考程度の検査と見なされています。実際、病院で行う尿糖検査は「定量検査」と言って、厳密な数値が出るようになっています。 尿糖は、腎臓で回収し切れなかった血糖のことです。健康な人は、血糖の大半が腎臓で再吸収されるため、尿に糖はほとんど出てきません。実は陰性のひとでも、多少は尿糖が出ているのですが、検査紙の感度では検出できません。 しかし糖尿病で血糖値が高いと、糖を回収しきれず、検出可能な量の尿糖となって排泄されてきます。一般に空腹時血糖値が160~180mg/dL超えると、尿糖が検出できると言われています。空腹時血糖値が125以上で糖尿病と診断されますから、160以上となると、かなり進んだ状態と言えます。空腹時も含めて、ずっと血糖値が高いひとほど、尿糖が出やすくなり、+の数が増えていきます。 ただし空腹時血糖値が125以下であっても、食後の血糖値が160以上に上がってしまうひとがいます。時間の経過とともに、血糖値は下がってくるのですが、160以上に留まっている時間帯に作られた尿には、尿糖が混ざっている可能性があるのです。