マルク・ヒルシがアラフィリップとの一騎打ちを制して初優勝! 3シーズン過ごしたチームへ、置き土産とするバスクタイトル【Cycle*2024 クラシカ・サンセバスティアン:レビュー】
頂上直前でのアラフィリップの再攻撃にも冷静に立ち舞ったヒルシは、2人逃げとしてサンセバスティアンへのダウンヒルをこなす。後続とのタイム差も十分に確保でき、アラフィリップとのマッチスプリントに備えるだけとなった。 そして最終局面。残り1kmを切っても続いたヒルシとアラフィリップの協調体制は、最後の数百メートルでアラフィリップが前に出たところで牽制状態へ。数度フェイントを仕掛けたアラフィリップに対し、残り150mのバナー通過と同時にスプリントを開始したヒルシ。両選手ともスピードには長けているけど、今回のマッチアップはヒルシに軍配が上がった。今季4勝目、クラシカ・サンセバスティアンでは初優勝だ。
「とにかく“激しいレース”のひと言だよ。速いスピードで走り続けて、全力で上る。今日はそんなレースだった。苦しかったけど、気づいたらジュリアン(アラフィリップ)と2人になっていた……そんな感じだよ。最後も良いスプリントができて本当に良かった。最高だよ!」(ヒルシ)
ポディウムではおなじみのバスクベレーをかぶり、多くの観衆からの祝福を受けたヒルシ。このレースの翌日には、来季のチューダープロサイクリング移籍を発表。3シーズン身を置いたUAEチームエミレーツへ、置き土産とするバスクタイトルともなった。ビッグチームでの充実した日々に感謝を伝えるべく、シーズン終わりまで全力を尽くすつもりだ。次の目標も明確になっている。自国スイスで開催されるロード世界選手権である。
「このまま好調を持続できると思う。スイスで開催されるロード世界選手権を目標としていて、チューリッヒのコースも自信をもって走れると考えているよ」(ヒルシ)
2018年以来の優勝まであと一歩まで迫ったアラフィリップは、敗れたとはいえレース後には笑顔。パリ五輪からの調子を維持して今大会での好走につなげた。ジロ・デ・イタリアでの劇的なステージ優勝があったけど、その後も6月から7月にかけて2勝を挙げている。元世界王者の力が戻ってきたと見ても良さそうだ。
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