マルク・ヒルシがアラフィリップとの一騎打ちを制して初優勝! 3シーズン過ごしたチームへ、置き土産とするバスクタイトル【Cycle*2024 クラシカ・サンセバスティアン:レビュー】
一度下ってすぐに上り始めるエルライツで、ついにメイン集団に動きが起こる。きっかけを作ったのはアラフィリップ。一気に集団を引き離しにかかると、フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がチェックに入る。さらにはパヴェル・シヴァコフ(UAEチームエミレーツ)も追随し、頂上を目前にアラフィリップとリポヴィッツをかわして先頭に立つ。その頃には、長く逃げていたカーは後方へと下がっていた。 この時点で、UAEチームエミレーツは想定通りのレース運びに自信を深めていたという。最大のライバルと見ていたヴィスマ・リースアバイクは、ヴィンゲゴーがハイスキベルで失速。序盤から集団をコントロールしていながら、エースの脱落でプランが完全に崩れていく様を目の当たりにしていた。
「ヴィンゲゴーが想像以上に早く遅れてしまったことには驚いた。ただ、彼はツールを戦った後だし、調子が上がっていないことも僕たちの頭にはあった。だから、ヴィンゲゴーが遅れるようならパヴェル(シヴァコフ)かヤン(クリステン)で攻撃を始めようと計画していたんだ」(ヒルシ)
フィニッシュまで40km以上を残したところで、シヴァコフが独走を開始。25秒ほど後ろを走る集団は約20人まで絞られるが、その中にUAE勢は4人。3選手を残したロット・デスティニーがシヴァコフを追う間、UAE勢は次の攻撃をいつでも繰り出せるよう、態勢を整える余裕があった。
「パヴェルの調子がすごく良かったから、そのまま逃げ切ることもイメージはしていたよ。ロット・デスティニーの人数が1人少なかったら追いきれなかっただろうね。パヴェルが逃げてくれたおかげで、僕たちの脚は万全で、最後の上りをフルガスで走るだけだったんだ」(ヒルシ)
最終登坂・ピロテギで再びアラフィリップがアタックに出ると、すかさずヒルシが対応。それまで逃げていたシヴァコフに代わって先頭に出ると、一度は追いついたクリステンとブランドン・マクナルティも勝負役をヒルシに託した。
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