新型コロナで通天閣「悔しい」黄色点灯 大阪モデル「警戒」呼びかけ
大阪府は12日、府内で新たに32人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表した。府民に感染状況を知らせる独自基準「大阪モデル」では、警戒を呼びかける「黄色信号」が初めて点灯することとなり、同日夜、通天閣(大阪市浪速区)が黄色の灯りに染められた。通天閣観光の高井隆光社長は「悔しい」と無念の表情を浮かべた。 【写真特集】通天閣の悔しい黄色点灯を様々な角度から写す
「黄信号」3つの点灯基準をすべて上回る
大阪モデルをめぐっては、今月3日の府の新型コロナウイルス対策本部会議で「休業要請や自粛解除などを行う際の独自基準とする」としていた部分を「府民に対する『警戒の基準(黄信号)』『非常事態の基準(赤信号)』『(警戒・非常事態)解除の基準』」と修正することが決まった。 大阪府は黄信号の点灯基準として、(1)新規の感染経路不明者の前週増加比(直近7日間の平均)が2倍以上(2)新規の感染経路不明者数が10人以上(同)(3)累積の新規感染者数(7日間合計)が120人以上でかつ後半3日間で半数以上――の3つを設けている。 府内の感染状況は、12日に(1)が2.16倍(2)が13.29人(3)が142人(後半3日間が82人)とすべての基準を上回った。大阪モデルを設定して以来、黄信号の点灯は初めて。
「二度とつけることないよう祈っていたが」
この事態を受け、6月30日まで感染状況を「赤」「黄」「緑」と色分けするライトアップに協力していた通天閣では、12日午後8時にネオンが黄色に灯され、時計部分には大阪府のキャラクター「もずやん」が注意を呼び掛ける表情で映し出された。
通天閣は、今年5月の大阪府の吉村洋文知事による「大阪モデルの基準をシンボリックな場所で色分けライトアップしたい」というアイデアがきっかけで、府の要請を受けて同月11日からライトアップに協力した。同24日には基準の範囲内を表す緑色にライトアップされるなど、大阪モデルの象徴としてメディアで取り上げられていた。6月30日には吉村知事自らが通天閣へ出向いて消灯式を行い、ライトアップに協力した通天閣観光の高井社長に感謝状を贈呈していた。 今回の黄信号ライトアップへの協力に、高井社長は「昨日も、もしかしてお願いするかもと府の方から連絡がありました。先日、せっかく吉村知事が来てくださって消灯式を行い、(大阪モデルのライトアップは)二度とつけることがないよう祈ってましたが、黄色のライトアップをしないといけないというのは悲しい気持ちでいっぱいです」と話した。