“秘書給与詐取容疑”の広瀬めぐみ氏は議員辞職で「逮捕」はある? 国会議員の「不逮捕特権」の“本当の威力”とは
広瀬氏の議員辞職は「不逮捕特権と無関係」
それらの不逮捕特権の2つの意義のうち、「不当逮捕からの自由」と「議院の審議権の確保」とではどちらが重要なのか。 荒川弁護士:「現在では、どちらかといえば『議院の審議権の確保』のほうがより重要だと考えられています。 なぜなら、憲法50条は、会期中の逮捕のみ禁じているからです。逆にいえば、会期中でなければ逮捕は問題ないということです。これは『不当逮捕からの自由』からは説明できません。『議院の審議権の確保』の意味合いが強いということです。 記憶に新しいところでは、2020年に公職選挙法違反で逮捕された元自民党参議院議員の河井案里氏の例があります。同年6月17日に通常国会が終わり、18日に逮捕されました。 今回、広瀬めぐみ氏が議員辞職しましたが、そもそも今は国会の会期外です。辞職してもしなくても、広瀬氏を逮捕することは憲法上まったく問題なかったといえます」
国会議員が「会期中に逮捕」された例は?
不逮捕特権は絶対的なものではない。憲法50条は、会期外に国会議員を逮捕することを禁じていないのに加え、会期中でも「法律の定める場合」には逮捕できるとしている。 これを受け、国会法33条は以下のように定めている。 (国会法33条) 「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」 つまり、国会の会期中であっても、以下の2つの場合には逮捕が認められる。 ・院外での現行犯逮捕の場合 ・議院の許諾があった場合 荒川弁護士:「まず、『院外での現行犯逮捕の場合』には不当逮捕のおそれがありません。議院の審議権には支障が生じるかもしれませんが、現行犯の場合はやむを得ないという価値判断があるのかもしれません。 次に、『議院の許諾があった場合』は、まさに議院の審議権を尊重したものといえます。議院が審議権に支障が生じる不利益を受け入れているということです。 ちなみに戦後、国会の会期中に議院が議員の逮捕を許諾したケースは16例あります」