オリジナル楽器も開発~音楽教室も人気の島村楽器
初心者から上級者まで~楽器愛好者を全面サポート
島村楽器の調査によると、ギターを買った人の8割が1年以内にやめてしまっているという。そこで廣瀬が掲げた戦略が「楽器プレーヤーのトータルサポート」。楽器を始める人を増やし、いかにして長く続けてもらうかだ。 〇島村楽器のトータルサポート戦略1~初心者を挫折させない 千葉に住む神成しのぶさんは半年前からギターに挑戦中。これまでも何度か挑戦したが、そのたびに挫折したという。ところが今回は半年間続いている。理由は、島村楽器が展開しているオンラインの動画サービス「ギターセンパイ」(月額990円~)だ。600曲を超える収録曲を、5つのステップを踏んで練習できる。 神成さんがこの半年、練習したのはあいみょんさんの「マリーゴールド」。まずはステップ1として、弦を1本だけ押さえるところからスタート。ステップが上がっていくと、押さえる弦が増えていく。ステップを踏むごとに弾けている感じが強くなる、という仕組み。半年間練習して最後のステップに到達した。 「純粋に楽しいです。初心者からすると、それっぽく弾けているのが一番うれしいかもしれない」(神成さん) 島村楽器ではギター編に続き、ピアノバージョンを開発中。 「入口の入りやすいところから作りたいなと」(廣瀬) 〇島村楽器のトータルサポート戦略2~仲間とセッション。 曲が弾けるようになったら誰かと演奏したくなる。ある週末、さいたま市の島村楽器大宮店に楽器を持った人たちが集まってきた。初めて会う人同士で行うのは、島村楽器が運営する「オトナカマ」というサークル活動だ(参加費1回550円)。 店舗ごとに毎回課題曲を決め、やりたい人が参加する。機材は店舗スタッフが用意。足りないパートはスタッフが担当してくれる。 集まる人たちの年齢や性別、演奏レベルはマチマチ。それでもセッションする楽しさが味わえる。 〇島村楽器のトータルサポート戦略3~目指せ檜舞台 島村楽器では教室の生徒たちがレッスンの成果を披露する演奏会を定期的に開いている。「発表会があると、そこに向けて練習に身が入る」と言う。 モチベーションアップのため、さらにゴージャスな舞台も用意されている。クラシック音楽の殿堂「サントリーホール」や、「東京オペラシティ リサイタルホール」「紀尾井ホール」といった憧れの舞台に立てるのだ。 こうしたトータルサポート戦略が功を奏し、島村楽器は絶好調。コロナ禍で一時売り上げは落ち込んだが、現在はその分を取り返し再び成長を続けている。 「楽器店を超えていろいろやっていると思っていただけるような存在になりたいです」(廣瀬)