“稼ぐ力”過去最高も 企業の設備投資 複雑な事情【WBS】
人手不足で設備投資は伸び悩み
「設備投資といえば企業の成長の源泉です。設備投資の伸び率を見ると、全産業ではまずまずと見えます」(相内優香キャスター) 「少し気がかりなのは、製造業の投資の伸びが1.4%に大きく落ち込んでいる。日本製鉄の今井社長がインタビューで『今は人手不足がネックになって、オフィス再開発などの工事が延期されて、鋼材の受注が先送りされている』と答えている。日銀のヒアリングでも建築の人手不足が影響して、投資が後ずれしているという回答が出ている」(原田亮介解説キャスター) 「製造業以外にも人手不足が原因で投資が減速している企業というのはあるのでしょうか」(相内キャスター) 「業種でいえば、卸小売がマイナス8.9%と大きく落ち込んでいる。これも日銀のヒアリングで2階建ての新規店舗を出そうとしたが工事が長期化するために平屋にしたという話や、新規店舗を出そうとするとかつての3倍のコストがかかることで出店を抑制するなどの意見が出ている」(原田解説キャスター) 「ただ全体で見ると業績は良いので賃上げは続いていきそうですが、企業はどこにお金を使っているのでしょうか」(相内キャスター) 「投資が堅調と言っても24兆円という水準は、30年前とほぼ同じに戻っただけ。投資が広がらないと生産性がないし、イノベーションも生まれない。一方で、株主への配当が設備投資を上回る水準で、東証は企業の経営改革を進めるよう促していて、それ自体は重要だが、中長期を考えると投資をもっと重視しないとなかなか難しい。省力化投資は増えているが、建設工事は供給制約があってなかなか進まないのが歯がゆいところだ」(原田解説キャスター) ※ワールドビジネスサテライト