“稼ぐ力”過去最高も 企業の設備投資 複雑な事情【WBS】
今年4月から6月までの企業の「稼ぐ力」を表す経常利益はおよそ35兆円と過去最高を更新しました。設備投資も1年前に比べ7.4%プラスとなり、前の3カ月と比べても伸び率が改善しました。ただ現場を取材すると、企業の複雑な事情も見えてきました。 東京・江東区にある「小髙莫大小工業」。伸縮性を持たせた、えりや袖に使うニットを70年以上にわたって製造しています。さらにそのニットを使った草履がインバウンド客の人気を集めています。 こうした製品を作る工場で今、検討しているのが新しい機械の導入です。 「新たに設置する機械はどういったもの?」(田中瞳キャスター) 「私たちの工程で最後に蒸気で商品を縮める作業がある。その部分の機械を導入しようと考えている」(小髙莫大小工業の小髙集社長) 過去には生産性を高めるために、長年使用してきた編み機を8000万円かけて刷新しました。ただ、今回の設備投資には別の理由があるといいます。 「以前は外注していたが、高齢で廃業してしまった」(小髙社長) これまで製品の仕上げの工程を依頼していた企業が、後継者不足などを理由に廃業。生産を続けるためには、自社で設備投資に踏み切り、仕上げの工程も自ら担うしかなくなってしまったのです。その費用は「機械自体が約300万円。トータルで約500万円かかる」(小髙社長)と言います。 時に複雑な事情を抱えながら経営に取り組む企業。2日に発表された今年4月から6月までの企業の経常利益は35兆円余りと、四半期ベースで過去最高を更新。設備投資も1年前に比べ7.4%伸びましたが、市場予想は下回りました。中小企業にとって、設備投資は将来の稼ぐ力にも直結しますが、その決断は簡単ではないと言います。 「決して小さくはない設備投資の額だが?」(田中キャスター) 「会社を続ける、続けないの判断の中で続けていくことを決めている。そうでなければ設備投資をせずにあるものでできるところまでやる」(小髙社長) 小髙莫大小工業では設備投資を通じて、外注していた仕上げの作業を内製化することで、今度は自分たちが仕事を請け負う側になることを見据えていると言います。