「1年間で500冊くらい読んだ」東大在学中に起業した読書教育のプロが語る、小学生時代の読書習慣
――年間500冊! でも、学校にいる間にそんなに本を読めますか…? あまり大きな声では言えないのですが、実は学校の授業中に読んでいたこともしょっちゅうでした。 当時、僕にとって本を読むことは「居場所」のひとつでした。友達や家族との関係はまったく問題もなく良好だったのですが、学校の授業にいまひとつなじめなかったのです。 「なじめなかった」と言いましたが、今思うと、僕がすねてしまったんだと思います。授業中、先生が「この答え、わかる人」と聞くので、わかる子は手を挙げますよね。僕もはりきって手を挙げて、指名されると答えていたのですが……だんだん当てられなくなったんです。 当時の僕は「いくら手を挙げたって、当ててくれないじゃん!」と手を挙げるのをやめました。そして、なにをしていたかというと……本を読んでいたのです。 そんなひねくれた態度をとっていましたが、ふいに当てられたらちゃんと答えていました。「授業は聞いてないけど、ちゃんとわかってるでしょ?」と、これは当時の僕のプライドです(笑)。小4から塾に通い始めていたので、授業の内容は理解していたんですね。 授業中、本は僕の居場所でした。あの時本を読んでいなかったら、授業の時間がとてつもなくつまらなく、モヤモヤしたものになっていたと思います。 ■プレ思春期の時期に、読書はとても心地よかった ――なるほど、授業中に読書ができれば、一日に3冊も可能ですね。 あと、当時僕が通っていた塾がいわゆる大手ではなかったので、宿題がそこまで厳しくなかったんです。「わかっているなら、やらなくていいよ」というスタンスだったので、塾から帰って読書の時間をとることができました。 小学生時代は、学校や塾、習い事の日々で、まだまだ見ることができる世界が狭いですよね。でも、本はまったく知らないことや想像もできない世界を見せてくれたり、教えてくれたりします。先生に反発心を抱くようなちょうどプレ思春期くらいの年齢に、読書はとても心地よかったですね。