夫が定年で「退職金2000万円」を手にしました。「銀行で投資で増やすようすすめられた」と言っていますが、大丈夫なのでしょうか? 貯めておくほうが安全ではないのですか?
退職金2000万円の使い道は?
では、退職金はどのように使われているのでしょうか? 一般財団法人投資信託協会が2022年に行った「60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査」から、退職金がどのように使われているか見てみましょう。 まず、退職金の使い道を見ると、預貯金が59.3%、日常生活費への充当が25.6%、旅行等の趣味21.7%、住宅ローン返済20.8%、金融商品購入が20.3%などとなっています。この結果を見ても分かるように、預貯金に充てる人が圧倒的に多いものの、住宅ローンなどの負債を先に解消する人に加え、金融商品などで投資している人も一定数はいるのです。 また、購入した金融商品(購入予定も含む)の内訳を見ると、主なもので株式59.5%、投資信託57.8%、外貨建て商品19.5%、国内債券19.3%となっています。 一言で投資といっても、図表1のとおり金融商品の中には安全性が高いものから、比較的リスクが大きいものまで、数多くの商品があり、バリエーションも豊富です。 図表1
金融庁 資産形成の基本 そこで退職金の使い道の例として、2000万円のうち月4万円×12ヶ月×15年=720万円を原資にして、NISA口座も活用しリスク資産の投資信託で15年間の積立で投資してみましょう。残りは安全性を重視し、個人向け変動10年国債で500万円運用し、65歳までは再雇用で働く前提で、780万円を65歳以降の生活費と年金の差額の補填(ほてん)用に貯蓄しておきます。 まず、NISA口座での積立投資は、5%の利回りで運用できれば、図表2のとおり720万円の元本に349万円の運用益が加わり、75歳時点の運用資産額は1069万円です。 図表2
金融庁 つみたてシミュレーター 500万円の個人向け国債は、現状は年間2万円程度の利子しか受け取れませんが、今後金利が上昇し利子が増える可能性もあり、普通預金利息に比べれば小遣い稼ぎ程度にはなるでしょう。このように、貯蓄だけで一切投資しない場合よりも、投資によって資産を長持ちさせたり、有効に活用したりすることは可能です。 ただし、これは1つの運用例に過ぎず、利回りが想定に届かなかったり、元本割れしたりするリスクはあります。いずれにしても、貯蓄と投資などで資産のバランスを取り、リスクも考えて効率的に組み合わせ、退職金などの資産寿命をできるだけ長く維持することが大切です。