“天の川銀河の恒星” だと思われていた天体、実は史上最も明るいクエーサーだったと判明!
「クエーサー」は中心部に巨大なブラックホール(超大質量ブラックホール)を抱えており、100億光年以上離れていても観測可能なほど明るく輝いています。クエーサーはこれまでに約100万個発見されていますが、極めて明るいクエーサーの発見はごく少数に留まります。 今日の宇宙画像 オーストラリア国立大学のChristian Wolf氏などの研究チームは、「J0529-4351」という天体がクエーサーであり、その明るさは太陽の約500兆倍、典型的なクエーサーの約200倍と、観測史上最も明るいクエーサーであることを突き止めました。J0529-4351は天体カタログの上では「99.98%、天の川銀河にある恒星」と誤ってラベル付けをされていたことから、既に観測されているのに極端に明るいクエーサーだとは気付かれていないものが他にも多数存在するとWolf氏らは考えています。
■極端に明るい「クエーサー」を見つけるのは難しい
宇宙にある様々な天体の中でも「クエーサー」は驚異的です。その中心部には超大質量ブラックホールがあり、大量の物質を吸い込む過程でエネルギーを放出すると考えられています。その明るさは太陽の数兆倍、典型的な銀河の数千倍にもなります。クエーサーはしばしば遠方の宇宙で見つかりますが、遠い宇宙を見ることは昔の宇宙を見ることと同じなので、クエーサーは若い宇宙に存在する天体であるということになります。このため、クエーサーは銀河の初期形態を表しているのではないかと考えられています。 1963年に初めてクエーサーという天体が認識されて以来、天文学者はクエーサーを約100万個発見しています。ただし、その大半は1つ1つに望遠鏡を向けて発見したものではありません。現在の天文学は、夜空の広い領域を観察して得られた膨大な観測データの中から探している天体を見つけ出す手法が一般的です。観測データに含まれる天体は文字通り “星の数ほど” あるため、天体の分類は機械学習によって自動的にラベル付けされています。 この手法は、膨大な天体カタログを整理する上では便利ですが、問題もあります。ラベル付けの根拠となる機械学習は、分類元となる天体の一般的な性質を元にトレーニングが行われます。このため、あまりにも極端な性質を示す天体の場合、正しい種類を認識できずに誤ったラベル付けを行ってしまうことがあります。そのような誤りは全体から見ればごく少数ですが、極端な性質の天体を見つける上では障害になり得ます。