目黒蓮“夏”が見せた成長、おにぎりがつないだあらためての親子のはじまり<海のはじまり 最終回>
Snow Man・目黒蓮が主演を務める月9ドラマ「海のはじまり」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系/FOD・TVerにて配信)が9月23日に最終回を迎えた。途中で特別編も挟み込まれたが、近年のドラマでは珍しく全12回でじっくり描かれた物語。夏(目黒)と海(泉谷星奈)親子の葛藤と成長に、世界トレンド1位の反響となった。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】明るい笑顔を見せる仕事モードの弥生(有村架純) ■2022年のドラマ「silent」チームが再集結して描く親子の物語 同ドラマは、目黒が出演し、社会現象とも呼ばれた2022年10月期のドラマ「silent」(フジテレビ系)の脚本・生方美久氏、風間太樹監督、村瀬健プロデューサーが集結して制作。“親子の愛”をテーマに、今の時代だからこそ伝えたい人と人との間に生まれる愛と、家族の物語を描く完全オリジナル作品だ。 印刷会社に勤務し、大学のときに別れた恋人の死をきっかけに自分の娘の存在を知る主人公・月岡夏を目黒、夏と付き合っていたが別れを決断した化粧品メーカー勤務の百瀬弥生を有村架純、夏の娘・海を泉谷星奈、夏の大学時代の恋人で病のために亡くなった南雲水季を古川琴音、水季が働いていた図書館の同僚・津野晴明を池松壮亮、水季の母・朱音を大竹しのぶが演じる。 ■海と向き合った夏がもらったおにぎりのメッセージ 夏と2人の新しい生活を始めたものの「夏くんと2人寂しかった」と海。そのまま朱音たちの家に泊まった海を夏はあらためて迎えに行き、寂しいときは津野や弥生たちに会うなどしてもいいとし、「海ちゃんが寂しくなくなるまで待ってる。待ちながら、どうしたら少しでも寂しくなくなるか考える」と強い思いを伝えた。 海と真正面から向き合った夏に、朱音はおにぎりを差し出した。「健康でいてね。海にご飯食べさせるために、あなたがちゃんとご飯を食べて、健康でいて」。 おにぎりは、朝、夏と離れて食欲がなかった海のために朱音が作り、「お箸持つ元気がなかったら、おにぎり食べるの。食べなきゃダメ。生きていかなきゃいけないから」と言うシーンもあった。 娘を自分より先に亡くした母の思いが込められたおにぎり。本作ではこれまでも食が印象的だったが、最終回も同様だった。このおにぎりはもちろん、夏のために実母・ゆき子(西田尚美)が作った好物のロールキャベツも、弥生がかつて海のために初めて手作りしたコロッケを自分1人で作っておいしそうにほおばった姿からも、前を向いて生きていく大切なメッセージがあったように思える。 ■「始まりはあいまいで、終わりはきっとない」親子の関係 「2人で頑張る」と気を張っていたことに視聴者から心配の声も上がっていた夏だが、ちゃんと成長ともいえる変化も。 急きょ日曜日に仕事が入った夏に、「1人でいれる。お留守番にも慣れたほうがいいでしょ」と海。夏は「じゃあ、なるべく早く帰るね」と言ったが、すぐに「いや、甘えよう」と思い返した。翌日、やって来たのは津野だった。 会社の先輩に「2人は大変ですけど、助けてくれる人も多いので」とほほ笑んだ夏。そのとおりに、夏の自宅には津野のほかにも、海から連絡をもらった弥生、さらに夏の弟・大和(木戸大聖)もやって来ていた。もちろん、朱音たちも、ゆき子たちも助けてくれるのだ。水季から夏に宛てた手紙にも「頼って、甘えてください」と書かれていた。 ラストは、第1話冒頭の水季と海のシーンにつながっていた。海が質問した「海はどこからはじまっているか」にちゃんと答えることができなかった水季。夏への手紙の裏面に小さな文字で追伸として書いた中に、そのことに触れつつ、「始まりはあいまいで、終わりはきっとない。今までいなかった夏くんはいつからか海のパパになっていて、今そこにいない私はいなくなっても海のママです」とあった。 くっきりとした始まりの線はなくとも確かに始まった夏と海の関係。これから終わりなく続いていく未来がきっと明るいものであることが示されたようなラストだった。 SNSには「あたたかい気持ちになれた」などの感想のほか、夏や海、水季だけでなく登場人物たちへのさまざまな思いがつづられ、タイトルが世界トレンド1位になる反響となった。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部