異例の短縮夏休み──子どもの学習の遅れや心身の健康、どう保障する【#コロナとどう暮らす】
ただ、児童たちの学校生活が軌道に乗ってきたところで前例のない夏を迎えることになる。 横浜市の小学校では、教育委員会規則で7月21日~8月26日と定められている夏休みを改正し、今年度は8月3日~16日と大幅に短縮した。同市教委によると、再開からすぐ休暇に入ると子どもたちの学校生活のペースを崩しかねないという配慮や、最高気温の統計などを総合的に判断して、この期間に落ち着いた。「保護者の大きな反対はなかったが、真夏の登下校での熱中症を不安視する声と、このままでは授業日数が少なくて心配という声があった」(石川隆一・同市教委小中学校企画課長)という。
重田校長は「再開から2カ月で夏休みを迎えることで子どもたちの生活リズムが崩れる面は否めない」と話す。他方、心配された学習の遅れは夏休みの短縮などで取り戻せる見通しだ。仮に今年度中に消化できなければ来年度に回すことが市教委に認められているため、無理な詰め込みは避ける方針だという。 「夏休みの宿題はゼロにします。2週間は気兼ねなく休んで、家族と出かけるなど羽を伸ばしてほしい」
保護者「短縮、受容するしかない」 学校への思い
保護者は夏休み短縮をどう受け止めているのか。 別の横浜市立小学校に6年生の長女と3年生の長男が通っている会社員の日丸邦彦さん(52)は、休校によって学校のありがたみを再認識したという。
「学校は、勉強だけでなく生活全般のリズムを整えてくれる。わが家では休校中も子どもたちがダラダラ過ごさないように時間割を作りましたが、家庭でそこまでできるかどうかは、親の余裕や教育観によって格差が出そうだなと感じました」 担任がプリントに記してくれるコメントや一斉メール、個人面談など「学校はできる限り情報を提供してくれている」。学校に信頼を寄せ、不安もコミュニケーションの中で解消してきたため、夏休みの短縮を知らされた時は「受容するしかない」と妻と話したという。 「息子はキャンプなど長期の団体行動の体験機会が失われるのが残念ですし、受験生の娘は暑い時に学校にも塾にも行かなければいけないのでストレスフルでしょう。ただ、短期間なりに近場でバーベキューをしたり磯遊びをしたりできたらいいなと今は考えています」