異例の短縮夏休み──子どもの学習の遅れや心身の健康、どう保障する【#コロナとどう暮らす】
夏休みの期間、どう決めているか
公立の小中学校の夏休みは、市町村教委が学校管理規則などで定めることになっている。教育上必要がある時には、校長が教委に届け出て期間を変更できる例外規定がある場合も多い。今年度、自治体や学校によって夏休みの日数に幅があるのはそのためだ。 文科省は今年4月、各教委教育長への通知で、学校再開後に学習の遅れを取り戻すには「時間割編成の工夫、学校行事の精選、長期休業期間の短縮、土曜日に授業を行うこと等」の措置を講じるよう示している。そのため、自治体によっては夏休み短縮以外に、土曜授業や7時間授業なども導入している。しかし通知では同時に、児童生徒と教職員の「負担が過重とならないように配慮すること」も求められている。
エアコンがない学校も 熱中症の懸念、どう乗り切る?
夏休みを短縮しての通学で懸念されるのが、熱中症だ。 静岡県養護教諭研究会が2019年度末に実施した調査によると、静岡県内の小中学校で空調設備(エアコン、扇風機)があるのは小学校99.6%、中学校98.5%。そのうち扇風機のみは、小学校17%、中学校37.8%だった。研究会が2018年度にエアコン未設置校のある地区に確認したところ、多くは「2020年度までに設置していく」という回答だったが、「2019年度からの3年計画で小学校から設置予定」となっているなど、この夏に間に合わない学校もある。また教室にはエアコンがあっても、登下校時のリスクがある。 同研究会の臼井悦子会長はこう話す。
「特に心配なのが小学校です。中学校は部活動があり通常でも夏休みの登校機会が多いですが、小学生は慣れていないし、登下校時にマスクをしていて暑くなっても臨機応変に対応できない低学年の子も多い。熱中症予防として水分を多くとるよう呼びかけるほか、ネッククーラーや保冷剤を活用する予定の自治体や学校もあります」 エアコンのない学校では既に、「マスクを長時間着用していると暑くなるので授業中は外して構わない、ただし大きな声で話さないこと」と指導しているところもあるという。 「ただ、マスクを外していいよと呼びかけても、漠然とした不安や家庭での教えからか、外そうとしない子がいるそうです。心臓疾患などの疾病がある子は呼吸が苦しくないようなタイプのフェイスシールドやマウスシールドに切り替えるなど、大人の側で丁寧に対応していく必要を感じています」(臼井会長)