タペストリーのカプリ買収は白紙に。今後のブランド戦略とトランプ政権下でのM&A
記事のポイント タペストリーによるカプリホールディングスの買収計画は、FTCによる法的異議申し立てを受け、裁判所により正式に阻止された。 タペストリーは市場拡大を狙ったが、買収後の運営困難が予想され、計画の妥当性が疑問視されていた。 FTC委員長リナ・カーン氏の積極的な規制姿勢が功を奏したが、次期政権ではM&A規制が緩和される可能性があり、企業買収の動きが再び活発化する見通し。 タペストリーによるカプリ買収計画が正式に白紙となった。 コーチ(Coach)、ケイト・スペード(Kate Spade)、スチュアート・ワイツマン(Stuart Weitzman)を傘下に持つタペストリー(Tapestry Inc.)は、マイケル・コース(Michael Kors)やヴェルサーチェ(Versace)、ジミー・チュウ(Jimmy Choo)などのブランドを所有するカプリホールディングス(Capri Holdings)の買収を昨年8月に発表した。しかし、米連邦取引委員会(FTC)委員長リナ・カーン氏による法的な異議申し立てが買収の障壁となり、今月、裁判所の判決により買収が正式に阻止された。そして11月14日木曜日、タペストリーはこの計画の終了を正式に発表した。 取引終了と同時に発表されたのは、手元資金と将来の負債の組み合わせで賄う20億ドル規模の自社株買いプログラムである。 この取引は、タペストリーが、買収を通じて事業を拡大し、コーチやケイト・スペードの強みでもある「手頃な価格帯」のラグジュアリーアクセサリー市場での地位をさらに強固にする狙いがあった。しかし、この計画がタペストリーにとって魅力的であった点こそが、規制当局の懸念を招いた。規制当局は、タペストリーとカプリの取引が実現すれば、同市場の大部分を1社に集約させることになるという判断を下したのだ。 タペストリーは今後、別の成長路線を模索せねばならないだろう。