ヒューマン 斉藤由貴という川の行方 名曲「卒業」で歌手デビューから25年で40周年 はじめは「アイドルにはなりたくなかった」
女優、斉藤由貴(58)が来年2月21日に歌手デビュー40周年を迎える。1985年、即席麺のCMで世を騒がせた美少女はデビュー曲「卒業」を大ヒットさせ、瞬く間にスター街道を駆け上がった。「アイドルにはなりたくなかった」という思いとは裏腹に「怒濤(どとう)の川に飲み込まれ、流された」と回顧する斉藤が、原点回帰となる全国ツアーを展開。青春時代をともにしたファンのもとへ会いに行く思いを聞いた。(ペン・山下伸基、カメラ・加藤圭祐) 【写真17枚】「本当に58歳?」年齢を全く感じさせない美貌の斉藤由貴 ♪制服の胸のボタンを…毎年卒業シーズンになると、どこからともなく流れる癒やしボイス。歌声の主が斉藤であることを知らない若い世代も多い。あれから40年。「本当に58歳?」と目を疑う美貌に見とれながら、同時期に青春時代を過ごした記者は興味津々でデビュー当時を聞いた。 「東宝シンデレラのオーディションを受けてミスマガジンに選ばれた(1984年の)秋かな。歌を出さないかって事務所に言われ、『アイドルみたいなのは苦手です』と断ったんですが、結局そうなって戸惑ったのを覚えています」 明星食品「青春という名のラーメン」のCMで「胸騒ぎください」とささやき、ブレーク。必然の流れで歌謡界に身を投じた。 東京・新宿スタジオアルタで行われたデビューイベントには若者が殺到し、警察まで出動する騒ぎに。「2階のバルコニーから歌ったんですが、あまりにも人が多かった。緊張し過ぎて歌詞を忘れ、B面曲『青春』を半分しか歌えなくて…散々でした」と苦笑交じりに振り返る。 その後もフジテレビ系「スケバン刑事」、NHK連続テレビ小説「はね駒」に主演。86年大みそかには紅白歌合戦の紅組司会に抜てきされた。 「360度からいろんなボールが飛んできて、それをひたすら打ち続ける日々。あらゆることが突然決まり、いつも忙しかったので、あの時代の出来事は記憶のかなたです」と独特な表現で例え、「敷かれたレールに乗せられたというよりも、怒濤の川に飲み込まれて流された感じ。よく生き延びたと思います」と大笑いした。 音楽番組は「スターの人たちと並んでニコニコするのがつらくて」と苦手だったが、ライブは「無理する必要がなく自分を表現できた」と抵抗感がなかったという。全国ツアーに加えて、学園祭にも数多く出演した。