ヒューマン 斉藤由貴という川の行方 名曲「卒業」で歌手デビューから25年で40周年 はじめは「アイドルにはなりたくなかった」
軸足がアイドルから女優へと変わっても「せっかくいい曲があるのに歌ってみませんか?」というオファーが途切れなかった。「父が歌好きで私も教会で歌っていたので音楽が子供の頃から身近にあった」ことが歌への情熱の原点にある。
36年ぶりの全国ツアーはデビューから3年間、全ての楽曲で編曲とプロデュースを務めた武部聡氏(67)がセットリストなどの構成を担当する。「私は本職が演技する人間なので、自分で考えると物語感を織り込んじゃう。シングル曲を武部さんのオリジナルアレンジのまま歌うだけ。おんぶにだっこで全部任せています」と全幅の信頼を寄せる。
ツアーでは、2021年に発売したシングル曲のセルフカバー盤「水響曲」と、初日公演を迎える来年2月21日発売の「水響曲 第二楽章」から披露する。
同盤にはシングル曲に加えて、「予感」「AXIA~かなしいことり~」などファン人気の高いアルバム収録曲やB面曲をセルフカバー。目玉は高校生とのコラボだ。
「前回クラシカルだった『卒業』を再びカバーしていて、今度は高校生の合唱と歌うんです。レコーディングはこれからですが、今から楽しみ」と胸を躍らせる。
記念すべき初日は生まれ育った横浜市の神奈川県民ホール。「地元なので、うれしいですね。今からドキドキしています」と緊張の面持ちも、「一緒に年齢を重ねた皆さんの励みになれるようだったらうれしいな」と笑顔に。
子育てからひと段落したり、職場の役職から解き放たれたり、定年を迎えたりと、さまざまな「卒業」を経験した同世代のファンたちが、斉藤の癒やしボイスを待ちわびている。
★長女の女優・水嶋凜に母として気遣い
長女、水嶋凜(25)が2021年に女優デビューし、翌22年には斉藤の楽曲「予感」をカバーしてデジタルシングルで歌手デビューも果たした。同じ世界へ飛び込んだことに「賛成でも反対でもなかった。ただ、彼女は葛藤があると思います。避けたくても私の娘という枕詞がつくから」と気遣い、「自分の一番居心地がよくて、好きだと思えることができて、チャレンジしたいと思える場所にいることが大事」と母心を見せた。