ワールドカップに万博「2030年代」に存在感増す国はどこか?2019年に海外からの観光解禁、年間1.5億人目標
キディヤは、サウジアラビアの首都リヤド近郊に築かれている、巨大な娯楽・観光プロジェクト。テーマパークの広さは50万平方メートル。テーマパークの中央には全高70メートルの「神龍」が据えられ、アトラクションの数は少なくとも30になる予定です。 「神龍」の中を通り抜ける大型ジェットコースターも設置されます。サウジアラビアは、化石燃料に依存した経済から脱却するため、こうしたプロジェクトに大変力を入れているのです。
『ドラゴンボール』は、2024年3月1日に急性硬膜下血腫で亡くなった漫画家の鳥山明さんの代表作。1984年に連載が始まりました。1986年から1997年まで放送されたテレビアニメシリーズは、平均視聴率20%を維持し多くの言語に吹き替えられて、80カ国以上で放映されました。続編や映画も数多く制作されています。 ■政府役人一人一人に与えられた「ビジョン2030」 これからのサウジアラビアを知る上で欠かせないのが、国家ビジョンたる「ビジョン2030」です。日本もこのような国家ビジョンを持ちたいものです。
実際、私がビジネスコンサルタントとして、サウジアラビアの各役所、関係機関と接触すると、局長クラスは、「ビジョン2030」に基づく明確な目標を与えられており、未達の場合は自らの昇進に影響が及ぶとして、かなりの厳しさのもとで仕事をしています。 一昔前のアラブ諸国の役人の面影は、現在のサウジアラビアには見当たりません。 その背景を説明しましょう。2016年4月25日、サウジアラビア政府は、サルマン国王主宰による閣議を開き、経済開発評議会(ムハンマド副皇太子〈当時〉が議長)が作成した2030年までの経済改革計画「ビジョン2030」を承認しました。
同日、ムハンマド副皇太子が同計画について記者会見で発表したほか、『アル・アラビーヤ』放送においてインタビューに答え、石油依存経済から脱却し、投資収益に基づく国家を建設していくことを強調しました。 発表された同計画における目標は表のとおりです。また、これらの目標を達成するための手段として、国営石油会社サウジアラムコの5%未満の新規株式公開(IPO)、民営化による透明性の向上と汚職抑制、軍事産業の育成による国内調達の軍装備品支出の割合を50%まで拡大、外国人による長期的な労働・滞在を可能にするグリーンカード制度の5年以内の導入などがあわせて発表されました。
これを受けて、日本がこのビジョンにどのように貢献するべきかを示したのが、「日・サウジ・ビジョン2030」です。2国間協力プロジェクトの進展と今後の具体的なアクションを取りまとめた文書として、初版(2017年3月)が安倍元総理とサルマン国王により発表されて以来、随時改訂されています。
中川 浩一 :元外交官、アラビア語の天皇通訳・総理通訳