急に出てきた「子育て給付金」 なぜあまり報道されない?
自治体によってバラつく申請時期
申告時期に関しても疑問があります。4月の消費税増税の腰折れを防ぐためなのに、申告は6月以降からはじめるということになっています。この時期のズレについて、前出の厚生労働省担当者はこう説明します。 「平成25年の所得によって給付を決めるという仕組みです。それが決まるまでは給付できませんので、4月支払いは難しい。増税の腰折れを防ぐという意味では、6月以降でも遅すぎることはないと思っています。もちろん、手続きは可及的速やかに、と自治体にお願いしています」 その申告先である各自治体ですが、申告時期にバラつきがあります。3月27日時点で東京23区の状況を見てみると、別表のように6月から7月までと幅があります。統一されていないのはなぜでしょうか。 「自治体の事業規模やマンパワーの違いで、自治体の業務に差が出てしまうのは当然です。むしろ一律にいつまでにしなさいというほうが混乱します。ですから、実施時期は各自治体にまかせています」 ちなみにこれら広報業務や郵送料、事務手続き費などに200億円の予算が計上されています。 「予算が大きすぎる」という批判もありますが、政府としての予算は2億円です。あとは各自治体がポスター、チラシ、リーフレットを作ったり、給付の連絡のための発送だったり、窓口業務などの新設する手続き費用として利用します。余った分は補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)にもとづき、返納してもらい翌年の予算に計上されます。
「臨時福祉給付金」との違いは?
同じ給付金でも、所得の低い人への措置としておこなわれる「臨時福祉給付金」については、低所得者対策として増税が決まった段階で盛り込まれていたこともあり、ある程度認知されています。「子育て世帯臨時特例給付金」がそれと比べて認知されていないのには理由があります。 「臨時福祉給付金は最初から盛り込まれていたので準備もできましたが、子育てに関しては急に出てきた話でしたので、省内でもまだ担当部局が設置されてないのです。そのため消費税が10%になった時に同じような対応があるかどうかは、未定です」 また、「臨時福祉給付金」と「子育て世帯臨時特例給付金」を両方受け取ることはできません。 「臨時福祉給付金は2014度の住民税の課税がなかった人に対して払われ、子育て世帯臨時特例給付金は2014年1月1日時点での児童手当の受給者に支払われます。住民税が払えない子育て世帯であっても両方を受け取ることはできません。この場合は臨時福祉給付金が支払われることになります」 急に出てきた「子育て世帯臨時特例給付金」。そのせいか、「臨時福祉給付金」との整合性や周知広報の仕方など、調整できていない感じはありますが、子育て世帯にはありがたい制度といえるでしょう。申告忘れのないよう、自治体からの広報をチェックしましょう。