コラム:亜州・中国(24) 遠藤和也・駐フィリピン大使に聞く 「マルコス政権の対日協力を高く評価」
日比安保協力の強化は自然な流れ
泉 2年前にマルコス大統領が就任してから、日米との外交・安全保障の分野での連携を強化しています。日比両政府は今年7月、日比部隊間の交流をしやすくする「部隊間協力円滑化協定(RAA)」に署名しました。 遠藤 今年4月、ワシントンで岸田首相、バイデン大統領、マルコス大統領による日米比首脳会合が初めて開催されました。日米比三カ国は、協力の中身を非常に充実させてきていると思います。 安全保障の分野では、さらに日本、米国、オーストラリア、フィリピンの4カ国防衛相会談も今年5月にハワイで開かれました。様々な枠組みでの協力を重層的に強化していくことが重要です。 一方で、日本とフィリピンとの間でどういう協力ができるかが最も大きな関心事です。日比両国とも海洋国で、基本的価値と原則を共有し、戦略的パートナーであり、東シナ海、南シナ海の状況にそれぞれ深刻な懸念を抱えています。地域の安全保障環境を考えても、やはり日比の間での安全保障、防衛面での協力を強化していくのは自然な流れだと思います。
協力は互いの経済成長にも貢献
泉 3年目に入ったマルコス政権をどう評価されますか。 遠藤 マルコス大統領は7月22日、就任後3回目の施政方針演説に臨まれました。内政と外政のさまざまな課題について一つひとつ着実に取り組んでいく姿勢をみせておられました。 マルコス政権下で、日本との協力をきちんと深化させていく姿勢をわれわれとしては高く評価しているところです。幅広い分野での協力を進めていきたい。その結果として、フィリピンの経済の発展に貢献しつつ、日本自らの経済の成長にも貢献してもらえるようにしていければと思います。 2026年は日比国交正常化70周年に当たります。その年はフィリピンが東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国です。自ずといろいろな形で交流ができるタイミングをも念頭に置きながら、さらなるフィリピンとの関係発展を考えていきたい。