ヤングなでしこが3大会連続のW杯ファイナリストへ! ビッグクラブも熱視線を送る“登竜門”をくぐる新ヒロインたち
“最も高い場所で行われている”大会への準備
主役級の4人を欠いた中で、勝ち上がることができるのか――。 そんな心配は杞憂に終わっている。日本はグループステージでニュージーランド(7-0)、ガーナ(4-1)、オーストリア(2-0)に3連勝。ラウンド16でナイジェリアを下し(2-1)、準々決勝で前回王者のスペイン(1-0)、準決勝では地元コロンビアを破って勝ち上がったオランダ(2-0)を下した。 快進撃の要因をオフザピッチとオンザピッチに分けて考えると、前者は大会前の“準備力”だろう。 今大会は、大会史上“最も高い場所”で行われている。会場は富士山の6号目に相当する首都ボゴタ(標高2600m)のほか、メデジン(標高約1500m)、カリ(標高約1000m)の3都市。6試合で大会トップタイの5ゴールを挙げている得点王候補の土方麻椰は、その壮絶な環境をこう説明する。 「ワンプレーで息が上がり、呼吸を落ち着けるのに時間がかかって、ボールに関わる回数が減ってしまいます。普段のハードワークやスプリントを繰り返すことができなくて、最初は苦しみました」 高地では酸素が不足して頭痛や食欲低下、睡眠障害などの高山病にかかりやすくなる。そのリスクを避けるための科学的な知見も集めた上で、狩野倫久監督は2週間前にチームをコロンビア入りさせ、高地順化で体を慣らしてからグループステージに臨んだ。試合間隔は中2日と短く、決勝まで7試合と過酷な連戦になることを見越して、「個々にモニタリングをして、走行距離や心拍数の変動、体調の変化を見ながら準備していった」。 大会が始まってからは時間をかけて準備した甲斐もあり、標高が下がったメデジンのスペイン戦や、カリのオランダ戦では「体力がついて、楽に感じられた」(土方)という。 また、今大会は、FIFAの主要大会で初めて「フットボールビデオサポート」が採用されている。ビデオ判定で結果に関わる重大な判定の間違いを修正でき、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)よりも低コストで運用できる。両監督は1試合に2回まで、判定の修正をリクエストする権利がある。このシステムについても、事前にレクチャーを受けて、チーム全体で準備を進めてきたという。これまで対戦国の監督が判定をリクエストするシーンが2度あったが、判定の結果を待つ間、日本の選手たちに動揺はなく、判定が覆ることもなかった。