2%の物価安定目標目指し「量的・質的金融緩和を継続」日銀・黒田総裁会見10月28日(全文)※冒頭発言のみ
経済見通しは下振れリスクのほうが大きい
次に物価の現状ですが、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比はエネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により3%程度となっています。また、予想物価上昇率は上昇しています。物価の先行きについては生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は本年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めたあと、これらの押し上げ寄与の減衰に伴い、来年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくと予想しています。その後はマクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていく下で、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとみています。 前回の見通しと比べますと、成長率については夏場の感染拡大や海外経済の減速の影響から2022年度を中心に幾分下振れています。物価については、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から2022年度を中心に上振れています。リスク要因を見ますと、海外の経済・物価動向、今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向、内外の感染症の動向やその影響など、わが国経済を巡る不確実性は極めて高いと考えています。その下で金融・為替市場の動向や、そのわが国経済物価への影響を十分注視する必要があります。リスクバランスは、経済見通しについては下振れリスクのほうが大きいとみています。物価見通しについては上振れリスクのほうが大きいとみています。 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続します。その上で当面、感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じます。政策金利については現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定しています。以上です。 (完)【書き起こし】日銀・黒田総裁会見10月28日