フェラーリ育成を率いるクリア、若手がF1で結果を出せる理由のひとつに“ジュニアフォーミュラとF1の連携”を挙げる
フェラーリのシニアパフォーマンスエンジニア兼ドライバーコーチであるジョック・クリアは、F1の現在の新人世代がなぜこのスポーツにこれほど大きな影響を与えているのかについて、自身の考えを明かした。クリアは、オリバー・ベアマンやフランコ・コラピントのような才能あるドライバーがこれほどすぐにパフォーマンスを出せる主な理由は、シミュレーター技術の進歩と、ジュニアフォーミュラとF1の連携にあると指摘している。 【写真】2024年F1第17戦アゼルバイジャンGP フランコ・コラピント(ウイリアムズ)が8位入賞 ベアマンはまだ18歳だが、今シーズン初めの第2戦サウジアラビアGPにカルロス・サインツ(フェラーリ)の代役として出場し、予選11番手につけ、レースを7位でフィニッシュした。一方、21歳でアルゼンチン出身のコラピントは、先月の第16戦イタリアGPにローガン・サージェント(ウイリアムズ)に代わって出場し、その次のアゼルバイジャンGPで初ポイントを獲得した。 フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)のリーダーも務めるクリアは、今日の若い才能がF1に進出する道はかつてないほど明確になっていると信じている。 「これはすべてのアカデミーの証となっていると思う」と、クリアは最近『F1 Nation』ポッドキャストでコメントした。 「これはおそらく、下位フォーミュラが全体的にF1と連携してきたことの証だと思う。我々はジュニアフォーミュラチームと非常に良好な関係を築いている」 「ベアマンが初めてのレースで、実際にドライブしたことのないマシンに乗り込み、予選11番手につけてレースで7位に入るなんて、あのマシンでテストもしたことがないのに一体どうしたら可能なのかと思うのではないだろうか? 現在のシミュレーターは非常に優れている。それはテクノロジーの自然な進歩だと私は考えている」 「F1チームに『もうテストはできない。毎日1日中フィオラノをドライブする機会はもうない』と言ったら、F1チームはまったく同じ仕事をする別の方法をかなり積極的に開発することだろう」 「どうすれば、パフォーマンスを発揮する準備ができているかどうか確認できるだろうか? 我々は方法を見つける。そして、シミュレーターはその明白な方法だ。シミュレーターの忠実度は現在非常に高いレベルにある。そのため、ここまで来たコラピントやオリー(オリバー・ベアマンの愛称)を見てみると、彼らにとってすべてが初めてというわけではないことがわかる」 「彼らはタイヤをどう扱うべきか、何を予期すべきかを知っている。彼らはこれまで一度も走ったことのないサーキットを走ったことがある。シミュレーターで運転する仮想サーキットは非常に優れているため、実際に『ああ、まさにこうだ』と思うほどだ。すべてがそこにある」 クリアは、ジェッダでベアマンが発揮したパフォーマンスは、若手ドライバーの優れた能力を証明するだけでなく、FIA F2選手権における総合的な才能のレベルを証明してもいると強調した。 「サウジアラビアでのオリーの経験の素晴らしい点は、F2グリッド全体の正当性が証明され、その価値が認められたということにある。現在F2グリッドには、F1チームが見て『そうだな、彼は注目する価値がないかもしれない』というようなドライバーはいない」 「我々のスポーツには、何かを勝ち取ったらチャンスを得るのは当然だと信じてきた歴史があると思う。F2を制覇すれば、F1に移籍するチャンスが得られるのは当然のことだ。F2全体を見直すために考え方を変える必要があると思う」 「優れたドライバーでなければ、F2でタイトルを獲ることは絶対にできない。しかし、F2選手権でタイトルを獲ったことのないドライバーも世の中にはいる。数回うまくいかなかったというだけの理由で、彼らがチャンスを逃すことは望ましくない」 コラピントは今シーズンの最終戦までウイリアムズからレースに出場し、ベアマンは来年ハースからF1にフルタイムで参戦する予定だ。さらに2025年にはメルセデスの期待の新星アンドレア・キミ・アントネッリがグリッドに並ぶことから、挑戦の準備が整っている有望な若い才能の集団によって、F1の未来は明るいものになりそうだ。 [オートスポーツweb 2024年10月15日]