約2億円も納得のポルシェ「911カレラ RSR 3.8」は走行距離39キロ! かつて日本のコレクターが所有していた51台限定のレアモデルとは
クルマ好きなら誰もが手に入れたい1台
2024年8月15日~17日にRMサザビーズがアメリカ・モントレーで開催したオークションにおいてポルシェ「911カレラ RSR 3.8」が出品されました。ファースト・オーナーはドイツ人でしたが、のちに日本人コレクターが入手し大事にコレクションされていた1台です。 【画像】生産台数は51台だけ! ポルシェ「911カレラ RSR 3.8」を見る(全31枚)
専用エンジンを搭載
1993年にポルシェが51台のみを生産した「911カレラ RSR 3.8」が、RMサザビーズのモントレー・オークションに登場した。つい最近、カリフォルニア州サンラファエルのレトロスポーツで、約4万ドル(邦貨換算約585万円)をかけた整備を行い、同時に公道走行が可能な要件を満たしたというこのモデルは、現在までの走行距離がわずかに39kmという、まさにデリバリー・マイレージを刻むのみの貴重なモデル。 参考までにファースト・オーナーはドイツのメミンゲン在住の人物で、その後1度もレースに使用されることなく日本のコレクターに売却。工場ワークショップの控えによると、ガードレッドに塗装された911カレラ RSR 3.8は51台のうちわずか2台しか存在しない。 デフロック、120Lの燃料タンク、ADAC GTタイプのエグゾーストシステム、ル・マン用ギアレシオ、エアジャッキ、レザー巻きのステアリングホイール、6点式のフルハーネス・シートベルト付きの助手席を備えているのも、新車時からのディテールそのままである。 964型の911カレラ RSR 3.8は、ポルシェがGTレースにおける優位性を再び確立したことを象徴するモデルだった。わずかに非力なRS 3.8をベースに、ヨーロッパの主要なGTレースや北米のスーパーカーレースをターゲットに開発された、まさにモンスターマシン。911ターボから受け継がれたワイドボディのリアには、専用の3.8L水平対向6気筒エンジン(M64/04型)が搭載され、最高出力は375psに達した。
乾燥重量は1212キロ
ボディシェルは通常の964型911の組み立てラインで製造されているものの、強度を高めるためにすべての継ぎ目が溶接されている。その後アクシデント時の衝撃を防ぐと同時に、さらに高い剛性を得るためのロールケージを装着。サスペンションはもちろん専用のセッティングで、車高は通常のロード仕様からさらに約38mm低下した。 ステンレススチール製のハイムジョイント、調節可能な競技用ビルシュタイン製ショックアブソーバーとストラット、こちらもアジャスタブルのアンチロールバー、ターボS用のABS付きブレーキと競技用パッド、RSのものより0.5インチ幅の広い18インチのスピードライン製3ピース・ホイールなど、サーキット走行への備えは万全だった。 ちなみに完成した911カレラ RSR 3.8の乾燥重量は1212kg。レースにエントリーするチームは、この重量によって必要に応じてバラストを搭載してレギュレーションをクリアすることができたのである。 RMサザビーズは、この911カレラ RSR 3.8に、125万~150万ドル(邦貨換算約1億8283万円~2億1940万円)のエスティメート(推定落札価格)を掲げ入札の行方を見守ったが、最終的にその数字が止まったのは132万5000ドル(邦貨換算約1億9380万円)でのことだった。まさに究極の964型911ともいえるRSR 3.8。その希少性やコンディションを考えれば、この評価も当然というべきなのだろうか。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)
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