【石橋静河さん×稲垣吾郎さん×内田有紀さん】女性の貧困や女性蔑視、生殖医療、地方社会の生きづらさ…他人事ではない問題を語り合う
代理出産、卵子提供、女性の貧困、地域格差、生殖医療の倫理。さまざまな社会問題を盛り込んだ桐野夏生さんの人気小説『燕は戻ってこない』がドラマ化、4月30日(火)から放送されます。第1回放送分のマスコミ向け試写会が行われ、主演の石橋静河さん、稲垣吾郎さん、内田有紀さんが登壇。このドラマに参加した思い、撮影のエピソードを語りました。またLEEweb単独インタビューでは、演じた役の心の動きについて感じたこと、「もし友人から“代理出産”について悩んでいると相談されたらどうする?」という質問にも答えてくれました。
ドラマ10『燕は戻ってこない』
派遣社員として暮らすリキ(石橋静河)は悩んでいる。職場の同僚から「卵子提供」をして金を稼ごうと誘われたのだ。アメリカの生殖医療エージェント「プランテ」日本支社で面談を受けるリキ。そこで持ち掛けられたのは「卵子提供」ではなく「代理出産」だった。元バレエダンサーの草桶基(稲垣吾郎)とその妻、悠子(内田有紀)が、高額の謝礼と引き換えに二人の子を産んでくれる「代理母」を探していた。
原作を読んで“自分も嫌だった”という叫びが頭の中に響いて、衝撃が走った(石橋)
社会的に注目を集めるテーマを多く含んでいる物語ですが、このドラマで役を演じるに当たって事前に何か勉強したこと、準備をしたことはありましたか。 石橋静河さん(以降、石橋)「私は原作を読んで出演を決めたのですが、なんとなく感じる迫力で、本を開くまで時間がかかってしまいました。本の中にものすごいものが詰まっているんだ、興味はあるけれど怖いなと思って。でもいざ読み始めたらあっという間で、本当に面白かったです。代理母だけではなく、女性の貧困や女性蔑視。私もずっと感じていた、女性が生きていく上でのマイナーな差別、口にするほどでもない苦しみについて“嫌だった”という叫びが頭の中に響き、衝撃が走りました。これは世の中に伝えなくてはいけないと思いました。原作にたくさんの専門的な情報がありましたが、主人公のリキ自身も最初は何も知らない状態からスタートして、いろいろな人や状況に翻弄されながら知っていきます。その感覚を大事にしたいと思ったので知識を詰め込みすぎずに臨みました」 稲垣吾郎さん(以降、稲垣)「僕も原作から読ませてもらったのですが、目から鱗のことばかりで。知らないことが多くて、実は女性の気持ちが分かっていないんじゃないかと思いました。男性の立場からですが、相手を無神経に傷つけてしまったりすることもあるかもしれない。また子どもや子孫、DNAを残したいという男性の本能的な欲望について、僕自身はそういったこだわりがなく生きてきたので、考えるきっかけになりました。今の時代は男女問わず、いろいろな考えがありますから、同じ男性でも意見が違うんですよね。もちろん、残したとしたらきっと愛おしい存在で自分以上に大切なものとして育てると思うのですが、そういう機会に恵まれずにこの年まで来てしまいましたから。演じたことで何か考えに変化があったわけではないのですが、これから何か変化があるのかもしれないとも思います」 内田有紀さん(以降、内田)「私は桐野さんの小説を読むのが好きで原作も1日で読めたんですけど、静河ちゃんと同じでやっぱり勇気がいりました。演じることで視聴者の方に感じてもらうのが仕事ですから、真摯に向き合って行かなければならないと覚悟を決めました。私はどんなドラマや映画でも、女性の本質を演じられるよう心がけてきたので、悠子の葛藤についても明確なイメージがありました。悠子のそれら一つひとつを粒立てて、必死に探して、悠子の核心を自分の中に叩き込んで日々過ごしています」