【石橋静河さん×稲垣吾郎さん×内田有紀さん】女性の貧困や女性蔑視、生殖医療、地方社会の生きづらさ…他人事ではない問題を語り合う
どこかSFのような生殖医療の世界。人間や社会にとってどうなのか、考えるきっかけに(稲垣)
ドラマでは、エッグドナー(卵子提供)、サロゲートマザー(夫の精子を第三者の女性に人工授精して妊娠・出産をすること)という日本ではあまり知られていない言葉が出てきます。こういった用語を知り、代理出産をテーマにした物語を演じたことでの印象の変化、考え方の変化はありましたか。 石橋「私も同じようにこれらの単語に馴染みがなく、字面しか知らなかったのですが、この作品で扉を開けてみたら、倫理的問題もあり、それぞれの立場から見えるものがあまりにも違うことに動揺しました。作品を通して学ばせてもらった感じです」 稲垣「言い方が違うかもしれませんが、生殖にまつわることがどこかSFの世界のように変わってきていることが社会にとって良い作用をすればいいんですけど、人間ですからいろいろな問題が生じてしまう。演じている側も今後どうなっていくのかな、という思いです。考えるきっかけになるドラマだと思いました」 内田「ドラマに参加する前に勉強をさせてもらって、さまざまな生き方・選択肢があると知ったことで少し勇気をもらえました。人間の理想の生き方を実現できることは良いことだと思いますが、気持ちが伴っていなかったり誰かが置いていかれてしまうのは違うんじゃないかとは思っています」 第1回で印象的だったシーンはありますか。 石橋「リキが同じアパートに住む男性、酒向芳さん演じる平岡に追いかけられるシーンは本当に怖かったです(笑)。もちろん、実際の酒向さんはとても素敵な方ですよ。あとは、伊藤万理華ちゃん演じるテルとコンビニで食事をするシーンですね。主婦やサラリーマンの方がいる中で、“献血と卵子提供は同じだよ”“お金もらえるよ”と言うテル、対してリキが“それってどういうこと?”とやり取りする場面です。ものすごいトピックなのに、ごくごく普通の女の子がごくごく普通の場所で話していることが、物語が展開していく上でのキーになる気がしています」 稲垣「さっき内田さんとも話していたのですが、この夫婦が夫婦らしく空気として馴染んで見えるのか、違和感なく見えるかどうかで、その世界に誘えるかどうかが決まると思いました。第1回を見ると、そこはうまくいったかなと思います。あとは、リキが生殖医療エージェントの人に“代理出産で300万円もらえる”と言われた時の表情、目の色が変わった瞬間ですね。欲望のスイッチが入ったのかな、それがすごく印象的で2回以降が楽しみになりました」 内田「悠子と基という夫婦が日常の中で、ちょっとずつすれ違い、何ミリかずつずれていく。その瞬間をじっくり見てほしいです。そんな中第1回で、稲垣くんが“体が硬いからストレッチのシーンを筋トレにしたい”と現場で交渉していたのが可愛かったです(笑)」 稲垣「筋トレ? いや、あれストレッチですよ(笑)。体のコアをストレッチと筋トレで鍛えてるんです。実際にバレエの先生に現場で指導していただいてやっているので本当ですよ。2回以降も、回想でバレエのシーンも出てくると思いますからぜひ注目していてください」