《自民党政権下で行われた控除廃止・縮小》負担増が見えにくい“隠れ増税”を検証 「年収103万円の壁」が引き上げられても、手取り減少の穴埋めには全然足りない
年金は実質1割も減らされた
サラリーマン以上に手取りが減らされてきたのは年金生活者だ。とくにこの10年間は凄まじい勢いで年金が減額された。 まず第2次安倍政権下の2013~2015年に年金水準を一律2.5%引き下げた。さらに2015年からはそれまで行なわれてこなかった物価上昇時に年金額を実質減額する「マクロ経済スライド」を5回実施して単純な合計で2.2%引き下げた。 さらに今年4月には、毎年なされる年金改定の際に物価と賃金がともに上昇した場合は支給額を“伸びの低いほうに合わせて改定する”という年金を目減りさせる新ルールが実施された。 その結果、物価は2012年から現在までに約12%も上昇したが、年金支給額の伸びは3%程度に抑えられた。 実質1割近い減額だ。高齢者の生活は急激に苦しくなった。 経済ジャーナリストの荻原博子氏は言う。 「物価高騰のなかで手取りが大きく減って一番生活に困っているのは高齢者ですよ。年金の支給額そのものが実質ベースで減っているのに加え、高齢者の健康保険料や介護保険料が上がり、医療費の窓口負担や介護の自己負担も次々に値上げされてきた。医療費が1割負担から2割負担になった人はいきなり支払いが2倍に増えたわけです。 年金しか収入がない人はとくに可処分所得(手取り)が見る見る減ってきて、このままでは生活できなくなると痛切に感じています」 自民党政権によってサラリーマンや年金生活者が奪われてきたこの「手取り」を、玉木氏はどれだけ取り戻すことができるのか。 玉木氏と国民民主党の真価が問われている。 (前編から読む) ※週刊ポスト2024年11月22日号