<独占インタビュー>オリックスの2冠投手、金子が語るCSへの決意と投球極意
2014年に取り組んだもの
――マウンド上で、飄々としている金子さんの姿を見ていると「この人はプレッシャーを感じることはあるのか」と思うことがあります(笑)。 「(プレッシャーは)感じます。緊張もします。逆にそういうものがないとダメなんです。去年、僕は、CS、日本シリーズをゲスト解説として現場で見ました。そのとき『果たして、僕が、この場面にいたら、シーズンと同じように冷静にできるのか?』と考えたんです。僕は『今のままなら無理だ』と思いました。2011年にはシーズンの最終戦、あと1試合でCSに出られるという試合で力を出せていません(※最終戦のソフトバンク戦で金子が先発したが1-4で敗戦。勝つか引き分けで3位だったが、わずか勝率1毛差で4位に)。『このままならば一緒だろう』と思いました。では、何で補うのかを、考えたとき、その答えは、やはり日々の練習にしかないんです。そして『ここ(CS、日本シリーズ)でやるには、どうすればいいか』を漠然としてではなく、ちゃんと考えました」 ――ちゃんと考えたものとは? 「どんな些細なことでも決めたことを1年間、やり抜くんです。今年は特にそう思って一日、一日を過ごしました。決めたことをやり通せば、結果がついてきます。でも、それを1年間、やり通すのは難しいんです。それができないと結果も残せません」 ――その決めた些細なことを教えてもらえませんか? 「本当にたいしたことではないので、言うのが恥ずかしいんですが(笑)、ひとつは、どの練習も気を抜かずにやってきました。例えば練習に関しては、先発投手は、他の選手とは違う調整、練習をしますので1週間に1度の試合のための過ごし方が大事です。その間、(練習を)抜こうと思えば簡単に抜けます。でも、そこで抜いていると僕の後に投げるピッチャーにも後ろで守っている野手にも申し訳ありません。アップをしてからキャッチボールをするという流れのなかで、そのすべてを全力でやるんです。アップも全力、キャッチボールも全力、その次にやるランニングも全力。キャッチボールは、ピッチャーからすれば仕事です。投げることを全力でやることは当たり前ですが、プロでも、それができない選手がいるんですよね。どこか抜いてしまう。それを抜かないようにすることを決めました」 ――なるほど。 「例えば、トレーニングコーチの方が、『50メートルのダッシュを何本』と指示しますよね。それをスタートから50メートルの手前で止めて流していたら意味がありません。抜かずに走りきることです。僕は、『人にやれと言われたことができなければ、自分でやることもできない』という考え方を持っています。だから言われたことはしっかりとやる。せっかくやるなら中途半端はもったいないじゃないですか」