急増する「家族葬」「小さな葬儀」に潜む“意外なトラブル”にもっと注意すべきだ メリット・デメリットを専門家が解説
葬儀は故人のためだけでなく、近しい間柄の人が喪失を受け入れる意味合い、所縁のあった人々がお別れを告げる社会的な意味合いがあります。 故人と親しい間柄にあった人にとっては、葬儀という儀式を通じて、故人との思い出や喪失感などの気持ちを共有することで、死を受容していくという大切なプロセスなのです。 また、葬儀、法事、法要は、遠方住まいでなかなか会えない親族や知人と交流を深める機会でもあります。 「葬儀は面倒と思っていたけれど、連絡したらめったに会えない親族や知人が参列してくれて、故人のためにもやってよかった」
という声もよく聞きます。 ■20~30名の「家族葬」が人気 とはいえ、実際のところ、従来のような「一般葬」を行う人は減っています。 親戚付き合いや近所付き合いの希薄化、故人の高齢化によって、関わりのあった人がすでに亡くなっていたり、高齢で参列できなくなっていたりという理由もあるためです。 小規模な葬儀は「家族葬」と呼ばれますが、参列者が家族・親族でなければならないわけではありません。親しい友人・知人などが参列する場合もあります。
そのため20~30名程度の規模で、親しい人のみで故人をゆっくりと見送れる「家族葬」を選ぶ人が増えています。 最近では、小規模葬儀に特化した葬儀場も増えており、遺族が故人との最後の時間をくつろいで過ごせるように配慮した建物のつくりもあるようです。 小規模な家族葬は、祭壇や斎場の規模が小さくなるため、一般葬と比べて費用を抑えられます(宗教者に対するお布施などは、一般葬と同様にかかります)。 しかし、葬儀費用そのものは抑えられても、小規模であるほど参列者が少ないため、香典も少なくなります。
葬儀費用の一部を参列者からの香典でまかなうと考えた場合、じつは一般葬のほうが施主側の負担が少なかったというケースもよくあります。 ■むしろ「葬儀後の対応」が面倒になる もう一点、考えておくべきなのが、葬儀後の対応です。 誰にも知らせずに葬儀を済ませてしまうと、後から故人の死を知った親族や知人などが、「葬儀に呼ばれなかった」と不満を感じたり、「故人に線香をあげさせてほしい」と自宅に弔問に来たりすることも。