「中高年の転職の厳しさを知ってほしい」憧れの職業パイロットから、アルバイト掛け持ち生活に転落 「実家がなければホームレスだった」
6月21日のメールには「成田ベースで確定となり、訓練開始日は9月25日となりました」と具体的な予定が記されていた。パイロットの健康管理担当者からも「ジェットスター・ジャパンにお越しくださり、本当にありがとうございます」と立て続けにメールが送られてきた。 再び旅客機の操縦桿を握る夢がかなったと思った。実は、ジェットスター以外にも被災地に医師を輸送するNPO法人やプライベートジェットの操縦で2社から内々定や最終面接の案内をもらっていたが、ジェットスターでパイロットになれるなら、と辞退した。 ▽突然の〝手のひら返し〟 ところが「合格」の連絡からわずか1カ月後に届いたメールで、事態は一変する。 「ジェットスター・ジャパンでは必要なサポートを十分にできないとの判断となりました。誠に申し訳ございませんが、当社への入社プロセスをこちらで中止とさせていただきます」 突然の「合格取り消し」、しかもメール一通での連絡に津雲さんは驚いた。
すぐにジェットスター側に連絡すると、人事担当者は弁明した。 「訓練の調整をする形にはなっていたが、契約書のやりとりはしていないので、内定取り消しになるかは難しいところだと思う」 耳を疑った。採用試験に合格したのに、内定ではなかったのか。そう追及すると、人事担当者は「そうですね。訓練を開始していただければと思っていた」と認めた上でこう続けた。 「(津雲さんの)落ち度ではないと考えていただければと思います」 「操縦スキルを見て、やはり当社としては入社してほしい、パイロットとして飛んでほしいという思いがあった」 前職でのメンタルの問題が引っかかったのかとも思ったが、それは採用試験の段階からつまびらかにしてきた。合格の連絡はその後だ。納得できるわけがない。 「メディカル面は内定前に検討するべきだ。なぜ内定の前に精査しなかったのか」 人事担当者は謝罪した。「このような連絡になってしまったのは大変申し訳なかった」