「中高年の転職の厳しさを知ってほしい」憧れの職業パイロットから、アルバイト掛け持ち生活に転落 「実家がなければホームレスだった」
3人目は「内定なのは間違いない」と言ってくれものの、「裁判には勝てるが、賠償はせいぜい数十万円。やめておいたら」。 最後に頼ったのは、大手航空会社を自ら訴えていた弁護士。相談すると、「裁判しましょう」と応じてくれた。4月、ジェットスターに約1000万円の損害賠償を求め、東京地裁に訴訟を起こした。 代理人となった桜井康統弁護士はこう言い切った。「スキルに何ら問題がなく、勤務地や勤務内容も確定しており、労働契約は成立している。内定取り消しは合理的な理由を欠き、無効だ。ジェットスターの不明朗な対応に振り回された原告は、耐えがたい心痛を味わった」 津雲さんは今、こんなことを考えている。「今でも操縦したい気持ちはある。ですが、年齢的にも、ブランクを考えても、この先パイロットとして採用されるのは現実的には難しいと思う。道を絶たれただけでなく、その後の人生も台無しにされた。この年で貯金もなく、食べるためだけに新卒同等の給料で働くしかない人生を与えたジェットスターは真摯に受け止めてほしい」
ジェットスターに取材を申し込むため、不採用とした経緯や理由について尋ねたが、回答は次の通りだった。「現在係争中につき、社としての回答は控えさせていただきます」