「米海軍最強空母」カールビンソンの"威容"を超接近撮! 管制室や食堂も…貴重な内部を独占公開
特別フォトレポート 全長333m・乗員約5000人、太平洋の守護神が装備を一新 最新鋭ステルス戦闘機に加え、海軍型オスプレイも配備された 貴重な内部をスクープ公開
耳をつんざくような轟音(ごうおん)を響かせながら、最新鋭のステルス戦闘機F-35Cが、整然と、発艦デッキに向かって甲板を移動。カタパルトにセットされると、直ちに機体後方で横幅15mほどの大きさの甲板の一部が起き上がって、巨大な板状の壁となる。これは「ジェットブラストディフレクター」と呼ばれるもので、エンジンの爆風から駐機中の機体、乗員らを守る役割を持つ。 甲板、航空管制室、食堂……生まれ変わった「カールビンソン」内部を密着撮影!【写真】 爆音を轟(とどろ)かせ、F-35Cは甲板を滑り出す。陸上基地の滑走路の長さは1~2㎞を超えるのが普通だが、空母では100m程度しかないために、自機のエンジン推力だけでは飛び立てない。カタパルトの助力を得て一気に加速すると、F-35Cは瞬く間に、蒼空へ。すぐさま次の機体が発艦準備にかかり、数分間隔で、次々と飛び立っていった――。 6月27日から8月1日にかけ、ハワイ周辺海域において環太平洋合同演習「リムパック」が行われた。冒頭は、演習の中核を担った米海軍空母「カールビンソン」による発着艦訓練の様子だ。 カールビンソンの艦載機部隊である第2空母航空団は9個の航空部隊で構成されており、’19年頃よりF/A-18戦闘機から、レーダーに探知されにくく長距離ミサイルの搭載が可能なステルス戦闘機F-35Cへと入れ替えが進められている。 ◆戦闘機など70機搭載 垂直離着陸が可能な海軍型オスプレイも配備されており、カールビンソンの戦力は軍事基地一つに匹敵すると言われる。生まれ変わったカールビンソンの姿を日本人で初めて密着撮影した。 カールビンソンは全長333m、最大幅77m、満載排水量10万t超。世界最大級の空母である。この巨大な艦の中で、約5000名もの乗員が働いている。戦闘機や攻撃機、電子戦機など最大70機もの航空機を搭載することが可能だ。 狭い甲板で効率良く作業するため、デッキクルーたちは、紫、青、緑、黄、茶、赤、白の7色に色分けした服を着て、一目でどの仕事をしているか分かるようにしている。例えば黄は発着艦に係る作業全般を行う乗員、赤はミサイルや爆弾などを取り扱う乗員、という具合だ。 甲板作業全般を統制するのが「エアボス」と呼ばれる幹部であり、甲板を見下ろせる航空管制室から常に厳しい目を向けている。空母は軍艦だが、航空機が主たる武器だ。そのため、空母の艦長は必ずパイロットもしくは航空士官から選ばれている。 カールビンソンは’82年の就役時から、太平洋からインド洋、中東アラビア海を主たる担当エリアとしている。現在の母港はサンディエゴだが、中国の挑発行為が活発になるたびに、アジア地域へと駆け付けており、日本にも寄港している。 空母は軍事力の象徴である。 中国はアメリカとの戦力均衡を目指して空母を三亜(サンア)や青島(チンタオ)へ配備。現在、4隻目を建造中だ。中国が空母を揃えつつある状況は、アメリカにとって看過できない。米本土から遠く離れた横須賀に寄港している理由は、もともと極東地域への即応態勢を取るためだった。だが、今やほとんど、中国への牽制(けんせい)が主たる任務となっている。 ’21年に来日した際は、初の太平洋展開を行っていた英空母「クイーンエリザベス」と合流。10月に沖縄周辺で初となる日米英蘭加新共同訓練を実施した。前年の’20年に中国海軍は日本の領海侵入を複数回行うなど、挑発行為を激化させていたため、中国に米英でプレッシャーをかけたのである。 「リムパック」を終え、カールビンソンは帰還したが、軍事的緊張が高まればすぐに日本に向けて出港する。装備を一新した「太平洋の守護神」は、中台有事に備え、サンディエゴからニラミを利かせている。 『FRIDAY』2024年9月20日号より
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