小池都知事が選挙で戦ったAIエンジニア安野貴博氏を大抜擢…異例人事に透ける“石丸封じ”の思惑
東京都の出資団体「GovTech(ガブテック)東京」のアドバイザーに、AIエンジニアの安野貴博氏(33)が今月13日付で就任。SNSで〈どんな活躍をされるのだろうか〉と話題を呼んでいる。 【写真】“ほぼ全裸ポスター”は制度を悪用? 過去にもあった「公序良俗ギリギリ」のきわどいポスター 安野氏は出馬した7月の都知事選では、AIを駆使し、SNSなどに寄せられた都民の声を公約に反映させる斬新な選挙戦を展開。約15万票を獲得するなど「爪痕」を残した。 知事選で約291万票を得て3選した小池都知事は、選挙で戦った相手を抜擢する異例の人事を行ったわけだ。どんな狙いがあるのか。小池知事の側近が言う。 「知事と安野さんは9月に非公式で面会し、情報交換していました。AIを利用した行政のデジタル化は都にとっても課題で、知事周辺は『安野さんの知恵を借りたい』と言っていた。最終的に、IT大手ヤフー元会長の宮坂学副知事が引っ張ってきたようです」
石丸伸二氏との安野氏の親和性
ただ、小池知事には別の思惑もありそうだ。念頭にあるのは、知事選で小池知事に次ぐ165万票を獲得した石丸伸二・前安芸高田市長の存在だ。ある都政関係者はこう言う。 「石丸さんは来夏の都議選に向けて地域政党を発足させると明言。息のかかった候補の擁立を示唆しました。小池知事と、その一派である都民ファーストの会の都議にとっては脅威です。そんな石丸さんは、放っておくと安野さんと連携しかねない。石丸さんは知事選時から陣営内にITチームを設置し、デジタル技術を駆使した選挙戦を展開。安野さんとの親和性は十分だからです。注目の2人にくっつかれると、知事サイドとしては困る。だから、先に声をかけて取り込んだというわけでしょう」 石丸氏は知事選直後、TBS系「サンデー・ジャポン」で安野氏について「ああいう存在、大好き。政治に関わらなくても良かったのに、ここ(知事選)で政治に関わろうという決断がいいなと思いました」と持ち上げていた。こうした石丸氏の、安野氏への“接近”と取れる言動が小池知事の判断を急がせたのかもしれない。 ■懐の深さも示せる 「安野さんの抜擢のメリットは“石丸封じ”だけではない。知事選で戦った相手を起用することで『ノーサイド』を演出し、懐の深さを示すことができる。ある意味で“天才的”な感覚ですね」(前出とは別の都政関係者) やはり“機を見るに敏”ということなのか。 ◇ ◇ ◇ 来年夏の都議選への“殴り込み”を明言した石丸伸二・前安芸高田市長。国民民主党の玉木代表も「かなり旋風を巻き起こす可能性は十分ある」と予想する、石丸新党の実力は? 関連記事【もっと読む】『石丸伸二氏「新党」の気になるポテンシャル 来夏の都議選に殴り込み、まさかの第1党獲得?』で詳しく報じている。