部員2人からのスタート、16年目で都大路初出場の水戸葵陵高校に密着! けがを防ぎながら能力高める「LTペース」とは
人に見せて恥ずかしくない練習をしよう
最近はLTペースを1人で走る練習が増えているそうです。駅伝強豪校といえば集団で走るイメージが強いですし、実際に僕が部活訪問をしていても調整を除いては、ほとんどが集団での練習ですが、取材に伺った日もポイント練習を1人ずつ行っていました。 「自分の体やコンディションを把握しながら、無理のないペースを刻んでいくためです。力のない選手が集団で走ると過度な緊張をしたり、無理をして故障につながったりするんです」。自分自身と向き合い、自分のペースを刻んでいく。結果的に駅伝での単独走にも生きそうだなと感じました。 取材日の練習では2年生の竹内優太選手につかせていただきました。安定したペースとリズムで引っ張っていただき、とても走りやすくて、M高史も無事にメニューをコンプリートしました! この日は400mを走ってその場で30秒休息、それを25本繰り返す練習です。キツそうなメニューに聞こえますが、LTペースということで澤野先生いわく「心地よいキツさ」のペース。僕も実際に走ってみて「キツくはないし、まだ上げられるけど、楽ではないペース」と感じ、無理なく強化していけそうだなと体感しました。 また、全選手のタイムや走った距離といった練習結果をSNSですべて公開するのも水戸葵陵高校の特徴。「人に見せて恥ずかしくない練習をしよう」という澤野先生の思いからだそうです。
支えてくださる皆さんの思いも1本の襷に込めて
選手の皆さんにもお話を伺いました。 井坂光選手(3年) 「今年はインターハイも決めて、1年間を通して流れが良かったと思います。インターハイでは全国トップレベルの選手とはまだまだ力の差があると感じましたし、そういった選手と対等に戦わなければ、その先のステージでは戦えないと感じました。夏合宿では全員の調子が上がっていきました。練習で追い込みすぎずに、自分の力に合った練習をするのが葵陵の特徴です。全国へ向けて、個人では1区で区間1桁、28分台を出したいです。チーム全体では総合20位以内、タイムも2時間7分切りを目標にしています。大学では、箱根駅伝、日本選手権、さらに国際大会を目標にやっていけたらと思います」 永井楓馬選手(2年) 「昨年の県新人駅伝で2位になり、チーム全員で今年は北関東枠を取ることを目標にしてきました。都大路を決められてホッとしています。夏過ぎまでは(ライバルチームに)勝てるのかなという不安もあったのですが、ラスト1カ月で自分も含めて全員が都大路への気持ちをしっかり持ってやれたので、なんとか決めることができました。関東ではチーム全員がかみ合って、良い駅伝ができたと思いますが、全国へ向けてもっと葵陵の力は見せられると思いますし、全員があと一段階上に行けば、さらに良い駅伝ができると思います」 齋藤星弥選手(2年) 「チーム全体で一丸となってやってきました。今年はけがもなく練習も積めました。全国へ向けて、初出場ですが流れを作って、しっかりテレビに映るような走りをしたいです(笑)。自分より持ちタイムが速い選手が相手でも、駅伝ではしっかり勝ちたいです。葵陵は先輩・後輩関係なく楽しめる雰囲気ですし、他の高校とは違う練習の仕方で、あまりスピード練習はやりませんが、しっかりLTで中盤に耐えられる。そこが葵陵の魅力だと思います」 チームメート、ご家族、卒業生、地域の皆さんの思いも1本の襷(たすき)に込めて、初の都大路を思いっきり駆け抜けてほしいですね! 水戸葵陵高校の皆さん、現状打破!
M高史