「GPTs」で自分向け推敲支援機能を作ってみる(西田宗千佳)
「文章表現上のテクニックには踏み込まない」と書いているのは、そうしないと型にハマった文章を書くテクニックをいちいち書いてくるだろう……という予測に基づく。 という最初の指示を与えると、GPT Builderは、機能の名前とアイコン画像も生成してくれる。 なぜか料理のアイコンを作ってきたので、別のものに修正してもらった。日本だと料理が出やすいとか、そういう話でもあるのだろうか。 あとは何回も実際にファイルを読み込ませ、「この文章をチェックしてください」と指示を与えつつ、出てくる答えが適切かを見ていく。 対象にするのは過去に書いた記事に手を加え、あえて誤字などを増やしたものだ。それをチェックできれば目的を達成できたことになる。 ただ、最初のうちは思った返答が出てこない。 すぐに感じたのは「半角と全角のチェック」の甘さだ。筆者の書く文章は、一部縦書きで出稿するものをのぞき、数字やアルファベットは半角統一が基本だ。だから、以下の条件を追加する。 ----- * 数字やアルファベットが半角で統一されているかを確認してください。 ----- やってみると今度は、記事中のURLなどをガチガチに指摘し始めた。また、句読点が全角であることの指摘もうるさい。 なので、 ----- * 記事中のURLは無視してください。 * 句読点も全角を基本に。全角の場合指摘は不要です。 ----- と付け加えた。 表記統一についてはちょっと面倒なところもある。 例えば文頭で「PlayStation 5(以下PS5)」と書いたとしよう。その後の文章でPS5と出てくれば、これは表記統一がなされていると考えるべきなのだが、ChatGPTは「同じ意味の言葉が別の表記で出てくる」と理解してしまう。 なので、次のように指示を加える。 ----- * 表記統一については、冒頭の文章で説明されていた場合、その後の指摘は不要です。 ----- さらに重要な点として、「修正すべき部分はあるものの、それがどこなのか」は教えてくれないことが挙げられる。 確かに「どこか教えて欲しい」とは指示していない。でも、わからないと機能としての意味がないので、次のような内容を追加する。 ----- * 指摘がある場所について、具体的にその場所を引用し、修正候補を並べて表記してください。 * 指示は具体的に、何行目が対象なのかを含めて行うように ----- こうすることで、誤字や不適切な語の扱いがあった場合でも、「ありました」と言われるだけでなく、ちゃんと「どこのどんな表現が」と教えてくれるようになる。 ただそれでも、指摘に合わせて「一般的な推敲のための教訓」を出したがる悪い癖があるようだ。なので、しつこく次のように指示する。 ----- * 対象となる文章のどこに問題があってどう修正するかの指摘だけでいいです。注意の表示は不要。 * 読み込んだ文章の修正点を見つけたら、そこを引用して「このように変えることを推奨します」と表示してください。文書推敲の一般論はわかっているので、毎回表示する必要はありません。修正が必要な結果だけ出してください。 ----- そうするとGPT Builderは、以下のように答えた。 修正点を見つけた場合にのみ、その箇所を引用して「このように変えることを推奨します」と表示するように設定を更新しました。文書推敲の一般論は表示せず、必要な修正結果だけを出力します。これにより、より直接的に修正点に焦点を当てることができます。他に調整したい点はありますか? よし、だいぶ良くなってきた。 さらに最後に、文章自体の読みやすさや概要を把握する機能を追加する。 原稿では、内容が分かれるところで適宜小見出しを入れる。筆者の場合、その冒頭には識別子として「■」を入れるようにしている。記事掲載の編集時にはカットされることが多いが、書き手と編集者の間で「ここが見出しですよ」とわかりやすくするための工夫、というところだろうか。 なので、以下の指示を与えた。 ----- * 誤字脱字などの評価を行ったのち、最後に「■」で区切られた段落ごとに要約し、その意味が分かりづらくないかを評価してください。その際には、各段落を要約し、要約が原文の内容を忠実に反映しているか、また、その表現が明確で分かりやすいかどうかを評価してください。 ----- そうやって各段落の要約とその評価を表示するようにした。他人が読んだ際にどう理解するのかを客観視するためだ。