「GPTs」で自分向け推敲支援機能を作ってみる(西田宗千佳)
生成AIにいろいろなことをやらせよう、という試みは多い。文章を書く、というパターンは多いのだが、正直なところ、ライターである筆者は「書く方」には困っていない。 生成AIグラビアギャラリー ただ、日常的に大量の文章を締め切りに追われながら書いていると、困ることもある。 それが「推敲」「校正」だ。いかに客観的に、効率よく行うかが文章の質を高めるには重要だ。 そのためにはテクノロジーも有効に使うべきだ。だからソフトウェアによる校正支援の話はなんどか書いているが、完全に納得しているわけではない。 文章を扱えるAIが手元にあるのだから、それをちゃんと使ってみたい。 というわけで今回は、ChatGPTの機能を使い、「自分向けの推敲支援機能」を作ってみることにしよう。
推敲を支援する機能が欲しい理由とは
文章を推敲する上での難点は「思い込みが左右する」ことだ。 ご存知のように推敲=著者自身が文章の完成度を上げるために行う行為だが、著者の脳内には「自分が書いたはずの原稿」がある。誤字脱字や表記揺れなどは、脳内の理想状態では「ちゃんとしている」ように感じているので、推敲時にも間違いや不適切な状態がスルーされてしまいやすい。 文章構成についても同様で、「この流れがいい」と思い込んでいると、別の可能性に思い至れなくなる。 だから「書き上がった原稿は1日寝かせてから読み直すと良い」と、まるでカレーのような話があったりするわけだが、出来上がった原稿はすぐに渡さなくてはいけないのが常なので、寝かせておくわけにもいかない。 「締め切りの1日前に書き上げておけばいいのに」って? そんなことができる人はライターになんてならないものなのですよ。 というわけで、書き上がった後にチェックする手段があるとありがたい。 現状、Microsoft Wordの校正支援機能である「エディター」を使うようにしているし、朝日新聞社が提供している文章校正AI「Typoless」も使ってみている。 だが、満足かというとそうではない。 というのは、これらの機能はタイプミスや表記ゆれチェックには有効でも、推敲には機能が足りないからだ。 筆者がやってしまいがちなミスに「文頭・文末表現の重なりを見逃す」というやつがある。 2つの文章が連続して「である」で終わるのは不自然なこと。よほどのことがない限り、ちゃんと書き分ける。文頭の接続詞に関しても同様。曖昧な接続詞は減らした方がいいし、連続させると意味も取りづらくなる。 そうするのが理想ではあるのだが、ダダッと筆が走った状態だと、なぜか連続した表現が残ってしまったりする。たいていは読み直しの時に発見して修正するが、見落とすこともある。自分の記事を読んでいて見つけると、本当に恥ずかしくなる。 記事構成自体がイマイチであることもあるが、それは「校正」の範疇を外れることでもある。著者自身が文章の質を上げる「推敲」の過程で見直すべき事柄だ。 本来、文章の質を上げていく行為は、編集者とともに行うことだとは思う。他人が入って客観視できるので、その方が確実だ。 だが、スピードの速いウェブメディアが基本となった昨今、なかなか難しいのも実情だ。 だとするなら、自分自身で行う「推敲」の質を上げるために、なにか工夫を……と考える必要が出てくる。