孤高の料理人・林冬青、岡山に移住し食堂「ソワイ」をオープン
◆パーネを焼く薪窯。 「ソワイ」とは、この地の釣り人の言葉で、魚が餌を求めて集まる魚礁を意味する。「大勢の人が集うおいしい隠れ家になればと名付けました」。林は毎朝、信頼を寄せる地元の鮮魚店へ仕入れに行き、野菜は地元の旬のものを使う。ここでしか味わえない瀬戸内の食材がテーブルを彩る。
◆店の前は牛窓港。 広い窓からは、海と島、眼前の港にフェリーが発着する様子も眺められる。見上げれば、やさしい灯りが食卓を照らす。ランプは旧知のガラス作家・有松啓介の手によるものだ。店名の由来を聞いた有松が「釣り人の垂らす灯りに魚が寄ってくるように、お客さまが集うように」と作ってくれた。
◆店のサンルームにテーブル席。海を眺めながらのアペリティーボを。
◆ガラス作家・有松啓介に特注したランプ。 場所は未定だが、リストランテ「アッカ」をクローズドなスタイルで再開することも計画中だ。「『ソワイ』で暮れなずむ海とアペリティーボを楽しんでから『アッカ』に移動してもらうとか」。牛窓にいると、やりたいことが次々出てくるのだそう。「ありがたいことに僕には料理の神様がついている」。林は、時々そう言う。新しい土地で神様が巡り合わせてくれた人々。彼らがつないでくれる瀬戸内の幸によって、林の料理は一層光を放っていくだろう。
◆倉庫だった所をリノベーション。何代か前に「魚礁(そわい)」という名の店だった名残の看板から、名前も受け継いだそう。林は母の介護をしながら朝から晩まで仕込みのために厨房に立ち、加苗は畑の世話で不在にすることも。「お電話をいただいても出られないことが多いので」と、予約は葉書にて。折り返し確認の葉書が届くというアナログな感じも楽しみたい。 sowai(ソワイ) 岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓3023 定休日:水・木曜、日曜夜(ほか不定休あり) 営業時間︓ランチ13時~、ディナー18時~ ※支払いは現金のみ。 予約の際、葉書に明記する事柄の詳細などは 公式インスタグラム @sowai.ushimadoをご覧ください。 BY MIKA KITAMURA