日本は世界一の「フクロウ輸入」国、“違法取り引き”の実態も… 野生動物“消費大国”に問われる責任
日本は“世界一”のフクロウ輸入国だった!?
フクロウはフクロウ目に属する鳥で、世界には約240種、そのうち日本では11種が生息している。私たちにとって身近な動物とも言えるが、日本での捕獲・飼養は禁止されており、現在、販売・展示されているフクロウは海外からの輸入、あるいは国内で繁殖された個体に限られている。輸入するにしても、フクロウ全種がワシントン条約の対象種となっているため、輸出国による許可書が必須となる。 WWFジャパンの輸入取引調査の結果、1975年から2021年までに日本へ輸入されたフクロウは60種2万3738頭に上る。フクロウ人気は日本特有のもので、日本は世界一のフクロウ輸入国だというから驚きだ。 市場で取引される動物にはすべて、出生地などの由来を示す必要がある。だが、WWFジャパンが国内で展示・販売されている49種1914頭のフクロウを調査したところ、飼育下繁殖と野生捕獲を合わせて由来が表示されていたのは約半数の49.9%という結果に。また、2012年から2021年の10年間で17件62頭が密輸など違法に取引されていたこともわかった。
フクロウ人気のウラで“お金”が動く…
フクロウがなぜ日本で人気になったのだろうか? WWFジャパンの浅川さんは「日本のペット市場でさまざまな種類の野生動物が取り扱われており、消費者の多様な好みに対応しています。海外からフクロウが輸入され、日本人の好みに合っていたということだと思う」と推測する。 日本での野生個体の捕獲は禁止されている一方、禁止されていない外国で捕獲された野生の個体が日本に輸入されるケースも。そして、その生息地・捕獲地は発展途上国である場合も多い。 浅川さんは「残念ながら野生動物がビジネスになってしまっているところもあります。(輸出国に対して)日本側から言及するのは難しい側面があります」と語る。 飼いたいと求める人がいれば、市場も大きくなってしまう。「合法に輸入しているんだから(ペットにしても)いいじゃないかという考えもあります。しかし、消費国の責任はないのでしょうか? 国の生物多様性に関する戦略でも、消費国の責任は言及されていますが、ひとりひとりの自覚も必要になります」(浅川さん)