新生「らくらくスマートフォン」で戦略転換、ドコモだけでなくY!mobileやSIMフリーで出す狙いは? FCNTに聞く
Y!mobileではこれまでのらくらくスマートフォンと考え方を変えた
―― 機能的に見ると、Y!mobile版のらくらくスマートフォン aは、ドコモ向けと比べて省かれている機能もあります。例えば感圧式のらくらくタッチパネルがないですし、カメラもセンター配置ではありません。ユーザー層が違うという想定でしょうか。 外谷氏 今ドコモでらくらくスマートフォンをお使いの方がY!mobile(に移って)で買っても、われわれのパイが広がりませんから(笑)。どちらかといえば、既にY!mobileの方にお使いただくことを想定しています。らくらくスマートフォンはUIが非常に独特で、興味を持たれているので、新しくらくらくスマートフォンにする方をメインに考えました。 らくらくスマートフォンならではの使いやすさは、支持されている部分と、逆に使いにくく感じさせる部分があり、難しい判断をしなければなりませんでした。カジュアルにらくらくスマートフォンの世界に入っていただきたいので、両社のバランスを取る形にしています。その意味では、これまでのらくらくスマートフォンと考え方を変え、チャレンジングな形でY!mobileの市場に投入しました。 ―― タッチパネルは押し込めなくてもいいので、こういうUIが欲しいという人に向けたということですね。 外谷氏 見やすいUIと迷ったときに戻れるホームボタン。基本的には、この2つを踏襲しています。 ―― 特殊な機能を一部省いたことで、コストも落とせたのでしょうか。 外谷氏 物量もあり、そこまで落とせていないのが正直なところです。オリジナルモデルを作る難しさもあり、カスタマイズのバランスを見つつ、キャリアと協業しながら進めています。
あえてSIMフリー市場でらくらくスマートフォンを投入する狙い
―― 今回、ドコモ版とY!mobile版だけでなく、オープンマーケット版もあったことが一番の驚きでした。キャリアのサポートを重視しているという発言もあったため、オープンマーケット版はないと思っていましたが、なぜこれを出すことになったのでしょうか。 外谷氏 確かに相反する考え方ではありますが、実はオープンマーケット版も並行して検討していました。SIMフリー(オープンマーケット)市場のシニアの方を見たとき、自分で端末を選ばれるというよりも、息子さんや娘さんなどのご家族が回線を見直す際に(一緒に親の)端末を買い替えようという動きがあります。今お使いのらくらくスマートフォンのSIMだけを変えればそのまま使える話ではありますが、そういう機会で既に違うスマホにしてしまったものの、やっぱりらくらくスマートフォンがよかったという人もいます。 通信料は安くなった一方で端末を使いこなせないというペインが世の中には少しある。マーケット規模がめちゃくちゃ大きいかといえば、そんなことはないのですが、規模の拡大を事業戦略に掲げている中で、SIMフリーでらくらくスマートフォンがどういうふうに受け入れられるかを問うてみようということで、こういったニーズに対応していくことを決めました。 正直なところ結構迷いました。うまくいくのかどうかは、ずっと考えて続けています。一方で、スタンドアロン(キャリアのサポートなし)でらくらくスマートフォンを使える方はいますし、家族がそういうところを見てくれるご家庭も少なからずあります。 ―― MVNOにサポート部分を委ねるということはお考えでしょうか。 外谷氏 MVNOの方はらくらくスマートフォンのような商品をお取り扱いになったことがないので、ある意味チャレンジです。お買い求めいただく方々を見ながら、協議していこうと考えています。 ―― MVNOの中にも、健康系のサービスを持っているところはありそうですし、シニアに強い業態の方が通信事業をやられているケースもあります。そういったところと組むことはできるのではないでしょうか。 外谷氏 どういう形で回線を選ばれるかというと、やはり家族丸ごとが多いですね。われわれのポートフォリオには、ファミリー層向けにMVNOと価値を作りながら届けていくのに最適な商品やサービスがそろっています。決まった話はまだありませんが、そういう形で考えていきたいですね。