新生「らくらくスマートフォン」で戦略転換、ドコモだけでなくY!mobileやSIMフリーで出す狙いは? FCNTに聞く
サイズ感を維持しながら画面の大型化に挑戦 文字サイズにもこだわり
―― ぱっと見は同じように見えますし、今のスマホとしては十分小さいのですが、ディスプレイサイズが0.4型上がっているのは結構な大型化ですね。このサイズにした理由はどこにあったのでしょうか。 高橋氏 意見を聞くと、今のサイズ感がいい、でも画面は大きい方がいいと言われます。それが本音だと思います。画面が大きすぎるとちょっと持ちづらくなりますが、持ちやすさと大きさをバランスさせた際にどこが一番いいのかを調査した上でこのサイズにしています。画面は大きくなりましたが、手に持ったときの感じは以前のモデルと比べても違和感はないと思います。今まで通りと思っていただける造形になっているからです。 ―― 0.4型大型化して握りやすくするのは難しかったのではないでしょうか。 高橋氏 相当難しかったですね。リアのアール(丸み)をしっかり取って、握りやすさを実現していますが、こういう形のものはあまりありません。実装効率がものすごく悪いからです。部材は四角でできているので、アールの部分はデッドスペースになりがちです。タッチパネルのサイズ拡大の課題も含め、難しいパズルの中で今回の形になりました。 四隅のアールもそうで、ここも基本的には直角に近い方が実装効率は上がります。ただ、らくらくスマートフォンとしての優しさやフレンドリーさを造形から感じていただきたい。その王道を提供するのが筋だと思っています。 ―― その部分はY!mobile版も共通ですね。 高橋氏 らくらくスマートフォン aでも、アールは取るように心掛けました。こちらは画面サイズがより大きいのですが、単純に大きくしただけでなく、ホーム画面の「電話」や「電話帳」などの文字サイズの絶対値は極力変えないようにしました。少しだけサイズは違いますが、通常だと、画面サイズに合わせてリニアに大きくなります。ここも、らくらくスマートフォンとして読みやすい文字を大事にしようということで、極力これまでのらくらくスマートフォンと同じになるように近づけていきました。 正能氏 文字サイズは結構重要なんです。大きければいいと思われがちですが、大きくするとその分一覧性が悪くなります。それだけでなく、心理的にもここまで大きくされると恥ずかしいという領域があり、単に大きいだけでなく調整が重要になります。 高橋氏 共通という点だと、今回はシンプルホームを変え、arrowsとほぼ同じものを採用しています。使い勝手を変え、アプリ一覧を呼び出す際のボタンをやめ、下からフリックすると出るようにしています。教えられないというご家族がいらっしゃったのと、もしらくらくスマートフォンを卒業されるときでも、他のスマホと同じものが入っていれば安心して乗りかえることができます。 また、以前のシンプルホームは視認性重視で、アイコンの下に座布団のような四角があって壁紙が見えなくなっていましたが、この部分も透過にしました。アプリの並べ替えもarrowsのシンプルホームでやっているようにメニューに出るようにしています。 ―― そうやって、徐々に普通のスマホに変えていく動きが増えてくるのでしょうか。 高橋氏 現状は基本的に操作体験を変えたくないという方が多いので、そこに対する影響はあまりないと思っています。 外谷氏 らくらくスマートフォンのユーザーには、ずっと使い続けている“ラバーズ”のような方もいれば、最近デビューした方もいます。最近デビューした方は、使い方を教えてもらえないので、arrowsと同じようなシンプルホームを入れて、周囲の方がお勧めしやすいようにしています。シンプルホームはあまり訴求してきませんでしたが、今回は初期設定の中で選べるようにしています。