返済中の住宅ローン変動金利がいよいよ上昇! 銀行員が返済額の変化までの「タイムライン」と「試算」を解説
【メガバンク、地銀・信金】返済額増加のシミュレーション
まず、メガバンクや地銀など「短期プライムレートを基準としている」変動金利で、これからの動きを解説します。 短期プライムレート基準の銀行では10月1日から、2.475%→2.625%へと、店頭金利(基準金利)の0.15%引き上げなど、金利の引き上げが実施されています。 変動金利は基準となる金利=店頭金利に連動する仕組みなので、変動金利で返済中の住宅ローン金利は原則として0.15%引き上げになるのです。 メガバンクや地銀(短期プライムレート基準)の基本ルール メガバンクや地銀では、短期プライムレートをもとにした基準金利(店頭金利、店頭表示金利とも)に連動して金利が変動する形式が主流です。 短期プライムレート基準では「5年ルール※」と「125%ルール※」という、金利変動に関する決まり事があります。 ※5年ルール 返済の最初から5年間、以後も5年経過するまでの間は、金利が上下動しても毎回返済額が変わらないルール。ただし毎回返済額は変わらなくても、返済額の内訳に占める利息の割合は金利変動に応じて変わるので、金利が変わらないということではない ※125%ルール 5年ごとの区切りの中で、次の5年間の返済額は、その直前の返済額に対して最高でも125%(1.25倍・例10万円⇒最高でも12万5千円)でとどめるルール。一方、金利が低下した場合の下限はない 今後のタイムライン メガバンクや地銀の変動金利型住宅ローンの今後は、基本的には以下のような動きになっていくと考えられます。 新しい金利の基準日は2024年10月1日↓新利率の適用開始日は2024年12月返済日の翌日(※2025年1月の返済から新金利が反映される)↓新金利が適用された内容は、11月上旬頃に郵送される返済明細表で確認できる↓5年刻みの残り年数(※自分が返済から3年を経過しているなら残りは2年、返済から7年が経過なら残り3年)の間は、返済額は変わらない ただし、金利はあくまで2024年12月から引き上げになり、返済額は変わらなくても金利が上昇して増えていることになります。 いつから、いくら増えるかをシミュレーションで確認 では、実際に金利上昇の影響について、シミュレーションしてみましょう。以下のモデルケースで「10月1日から金利が0.15%引き上げ(0.6⇒0.75%)になった場合の返済額の変化」を試算してみます。 <モデルケース> ・2017年9月に3000万円・変動金利0.6%・35年返済(ボーナス返済なし)で借りた ・2017年10月から返済を開始して84回支払済み ・2024年9月現在のローン残高は24,493,026円 ・2024年9月現在の毎月返済額は79,208円(このうち元金67,130円、利息12,078円) 図表1 【メガバンクや地銀・信金】返済額増加のシミュレーション 結論10月1日に金利が引き上げられ ↓ 12月の返済が終わった翌日から新金利になり ↓ 翌年1月から返済額が増える(利息が増えて元金が減る) 金利引き上げと返済額の変化について5つのポイント 短期プライムレート基準の変動金利で、金利が引き上げになった場合のポイントは以下のとおりです。 (1)5年ルールがある間は、毎月の返済額自体は変わらない (2)ただし利息の占める割合が増え、代わりに元金の割合が減る (3)毎回返済額が変わらない(5年ルール)、前回の1.2倍を超えて増えることはない(125%ルール) (4)といっても、これは上昇して増える利息を棚上げしているだけで、どこかで支払う必要がある (5)金利が3%⇒5%⇒7%など急激に、しかも上昇を続けた場合には最終回までに利息を払いきれない「未払利息」が残る恐れもある このように5年ルールがあるので、毎回返済額は変わらなくても、水面下では自分の支払う利息負担が増えているという状態になります。 なおシミュレーションはあくまでイメージのため簡易的に計算したもので、実際に利息や返済額がどうなるか? は返済明細表等で確認することが必要です。