コロナ禍で来日、言葉の壁を乗り越え…柔道女子57キロ級グアム代表のマリア・エスカノ(仙台大)がパリ五輪に挑む
慣れない期間は南條夫妻がたびたび自宅にマリアを招いて食事を振る舞い、韓国語を話せる南條監督は韓国語で会話を交わした。競技面以外の面でのサポートもマリアを支えた
「粘れ!」恩師の教えが“自分の柔道”の礎に
4日の壮行会では、柔道部女子主将の坂口千桜選手(4年)から花束を受け取ったマリアが「みなさんのサポートがなければ、オリンピックに向けて準備することはできなかった。オリンピックまでの道は長かったですが、助けてくれたみなさんに恩返しをできるよう、強い気持ちと感謝の気持ちを持って挑みます」などとあいさつ。その後の報道陣の取材では「4年間ずっと頑張ってきたので、代表に決まったことはとても嬉しいし、安心しました」と笑顔を見せた。
幼少期に五輪で柔道史上初の3連覇を成し遂げた野村忠宏さんを知り、動画で野村さんの柔道を目にしてから、日本で柔道を学んで五輪に出場することが目標になった。実際に日本で実力を磨き、目標を実現させた。 五輪では「自分の柔道に自信を持って戦う」と誓う。日本で身につけた「自分の柔道」は、南條監督から徹底して教え込まれた「粘り」の柔道だ。 マリアは「和恵先生が毎日、『粘れ!』と言ってくれました。その意味をようやく理解し、その言葉を思い出しながら練習しています」と胸を張る。南條監督も「日本に来たばかりの頃はすぐにあきらめるし、粘りがなかった。派手に投げることはできるけど、日本人が得意とする粘りがないのは海外の選手特有の傾向。少しずつ我慢しなさいと伝えてきて、4年生になって粘りがついてきたと思います」と手応えを口にした。
また得意技はプロレスのバックドロップに似た「裏投」で、相手が仕掛けてきたところを狙ってかける技のため、相手の仕掛けを待って先に「指導」を取られるのが弱点になっていた。その課題を克服しようと、積極的に技を仕掛ける練習や寝技の練習にも取り組んできた。パリでもグアム連盟の委嘱コーチとして帯同する南條監督と二人三脚で戦う。