水道代が劇的に安くなる!~驚異の発明、節水ノズル
商品売れず借金1億5000万円~倒産寸前から奇跡のV字回復
2009年に販売を開始した「バブル90」。さっそく大手企業に売り込みをかけるが、「そんなのいらない、という感じで、それより電気代だ、と。節水よりも節電の時代で、多くの企業が蛍光灯からLEDに替えていこうという時代だったんです」(高野)。 発売開始から5年たっても「バブル90」はほとんど売れず、借金は1億5000万円にふくらんだ。 そんなある日、高野が出会ったのが飲食チェーンを経営する社長だった。試しに導入してみると2カ月後、水道代は3分の1になり、「全店舗に入れてくれ」となった。そこからは「バブル90」の売り込み先を飲食店に絞り込み、無料で試してもらった。 「5店舗、10店舗と持っているオーナーさんが『すぐ全店に入れてくれ』となった。首の皮一枚つながって、そこからV字で上がっていった」(高野) 「バブル90」の評判は口コミで広がり、飲食チェーンや大手スーパーから注文が殺到し、全国に広まっていく。 その後、「メリオールデザイン」を発表すると、2023年には「省エネ大賞」審査委員会特別賞を受賞した。 DG TAKANOには、その技術に惚れ込んで、今や世界中から「働きたい」という人が集まってくる。 例えばエンジニアのファイザーン・モハメドはインドから来た。出身校のインド工科大学は、「Google」や「Amazon」といった巨大IT企業に人材を輩出する世界有数の名門校だ。 「世界的に有名な企業に就職すれば大きなプロジェクトに関われるけど、先輩のサポートに徹しなければならないこともあります。だったらDG TAKANOのような企業に入ったほうが自分が成長できると思ったんです」 開発責任者の三瓶雅紀は転職組だ。 「パナソニックで働いていました。水不足であったり、世界規模の課題に挑戦できる。そこのワクワク感を4年前に感じたので飛び込んでみました」
灼熱のサウジアラビアで、画期的な水活用システム
サウジアラビアの首都リヤドにあるイスラム教のモスク。そこへ高野が「バブル90」の売り込みにやってきた。 礼拝の前には、顔や手足などを水で清める「ウドゥ」という儀式がある。だからここでは毎日、多くの水が使われている。