フェラーリ移籍ハミルトン、12年間苦楽共にしたメルセデスF1との惜別に「もう涙は残っていない」最後の共闘では満足の走り
ルイス・ハミルトンは感動の最終戦アブダビGPで、12年間にわたるメルセデスF1でのキャリアに幕を閉じ、「もう涙は残っていない」と振り返った。 【動画】「どんな夢もチームと共に」メルセデスF1、12年間共に戦ったハミルトンへ贈るスペシャルムービー公開 メルセデスと共に6回のドライバーズチャンピオンに輝いたハミルトンは今年2月、2025年からフェラーリへ移籍することを発表。メルセデスでのラストシーズンで有終の美を飾ろうとしたものの、今季マシンW15の不安定なパフォーマンスに悩まされ、山あり谷ありの1年を過ごすこととなった。 チームはヤス・マリーナ・サーキットで行なわれた最終戦アブダビGPに向けて木曜日の夕方にパドッククラブのスイート・ルームでサプライズ集会を開き、ハミルトンに感謝の意を表す動画を公開。週末を通して送別ムードだったものの、予選でハミルトンは飛んできたボラードに行く手を阻まれ16番グリッド……このまま静かな幕切れになるかと思われた。 しかしハミルトンは決勝で、ハードタイヤからミディアムタイヤに切り替えるリバース戦略を駆使し5番手までポジションを上げると、ファイナルラップでチームメイトのジョージ・ラッセルを抜いて4位でチェッカーを受けた。 「浮き沈みは確かにあった。僕がある道を選んだことで、みんながそれを受け入れ、乗り越えるのは簡単なことではなかった」とハミルトンはそう振り返った。 「でも、この1年を通じて少しずつ伝わってきたのは結局、本当の愛だった。この何年もの間、僕を支えてくれたメルセデス首脳陣も最初は動揺していたけれど、『君はいつだってファミリーの一員だ』と言ってくれた」 「木曜日にはチームが上の階でサプライズをしてくれて、とても感動した。涙が全部出て、もう残っていないよ」 「このシーズンは激動の1年だった……おそらく人生で最も長い1年だったと思う。最初から袂を分かつことが分かっていたし、相手が誰であれ、別れることを告げたのに、1年間一緒に過ごすというのは、交際関係みたいだね」 「感情的には浮き沈みが激しかったけど、今回は最高の形で終えることができた。力強く、激しく争い、ミスもなくしっかりとした走りができた」 チェッカーを受けた後にグリッド上でドーナツターンを披露したハミルトンは、マシンを降りた後その場でしゃがみ込み、12年にわたる物語の終わりを噛み締めた。 その時はどんなことが頭をよぎったのかと訊かれたハミルトンは次のように答えた。 「その瞬間だけを味わっていた。今週はマシンに乗った時から、これが最後だと分かっていたし、全てがクリアで、手放すのが辛かった」 「マシンを止めた時、メルセデスに乗り込んで、チームを代表して走るのはこれが最後だから、この瞬間を味わいたいと思っていた。人生最高の栄誉だよ」
Filip Cleeren