警察VSヤクザVSカルト教団VS元格闘家 誉田哲也『フェイクフィクション』が文庫で登場 誉田作品を貫く「神の視点」とは?[文庫ベストセラー]
9月3日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『探花―隠蔽捜査9―』が獲得した。 第2位は『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん9』。第3位は『子宝船 きたきた捕物帖(二)』となった。 【画像を見る】二階堂ふみが姫川玲子に! 2019年のドラマ版「ストロベリーナイト・サーガ」相関図 4位以下で注目は8位にランクインした『フェイクフィクション』。警察小説『ストロベリーナイト』(光文社)をはじめとする姫川玲子シリーズ、青春小説『武士道シックスティーン』(文藝春秋)など幅広いジャンルの著作で知られる誉田哲也さんの長編小説。東京都下で「斬首」された死体が見つかった。捜査にあたる刑事、好きになった女性が新興宗教「サダイの家」の信者だと知った元格闘家の青年、「サダイの家」と深い関係にあるヤクザ、事件をきっかけに三人の運命が絡み合う。青春・アクション・アウトロー、様々な要素を持ったセンセーショナルな作品だ。 誉田さんは刊行記念のインタビューで今作は宗教について書いてみたいと思い書き始めたと語っている。そして同作を書いているうちに自分は作品世界に対し神のポジションでいると気づいたという。誉田さんの作品では生き延び別の物語にも登場する登場人物もいるが、亡くなってしまうキャラクターも多数いる。そこに触れながら《神は一人一人の人間に心を寄せてなんかいないんじゃないかと僕は思うんです》と語り《テーマがあって、それを解決してくださいと登場人物たちに言っているんですから、試練を与えて運命を規定しています。でもあまり思い入れはない。このあとにあまり使い道がないからここで死んでもらおうか、と死んでもらったりすることもあるんです。神ってその程度にしか人間のことを思っていないんじゃないでしょうか。だから、僕は申し訳ないけれど、神様を信じている人たちがよくわからない。わからないから『フェイクフィクション』で書いてみたんです。》と登場人物を生かし、殺す作家ならでは宗教観と物語観を明かしている。