バーレーンGPが26日開幕…7年ぶりの日本人ドライバーとしてF1初参戦の角田裕毅はどこまでやれるのか?
また角田が所属するアルファタウリが合同テストで好調だったことも角田にとっては好材料だ。アルファタウリの前身であるトロロッソは、レッドブルの姉妹チームとして2006年に誕生したイタリアの小規模なチーム。2008年にセバスチャン・ベッテルを擁して優勝したことはあるが、それ以外は表彰台にも上がることができない弱小集団だった。 しかし、2018年にホンダをパートナーに迎えると急成長。2019年には2度表彰台を獲得し、昨年のイタリアGPでは12年ぶりとなる優勝を成し遂げ、メキメキと力をつけてきた。 そのアルファタウリで昨年、自身初優勝を遂げ、今年は角田のチームメートを務めるピエール・ガスリーは、3日間のテストを終えて、新車AT02をこう評価した。 「このマシンは自信を持って攻めることができる。パワーユニットの開発に関してホンダは素晴らしい仕事をした。咋年のいまごろよりもずっといい状態。大きく前進した」 昨年のアルファタウリは予選での最高位が4位(ガスリー/エミリア・ロマーニャGP)で、予選でのQ3進出が2台合わせて14回あった。したがって、ガスリーが言うように今年のマシンが昨年よりも戦闘力が高くなっていれば、角田が予選でQ3に進出することはそう遠くない目標となる。そして、そうなれば、必然的にレースでもコンスタントに入賞することも可能となるだろう。 ただし、予選でQ3に進出できるかどうか、レースで入賞できるかどうかは、相手次第。そこで角田にとって重要になるのがチームメートとの差だ。これはほかのチームとは関係なく、ドライバーの腕が直接反映されるからだ。 角田が対峙するガスリーは、今年5シーズン目のドライバー。優勝1回を含む表彰台2回を獲得した実力者だ。テストを終えた角田も「コンディションに応じて、走り方を使い分けることで、いかにタイムを出しにいくかを学んだ」とガスリーに自分にはない経験があることを認めている。確かにガスリーは1年目の角田が簡単に勝ち越せる相手ではない。しかし、それは裏を返せば、角田にはまだまだ伸びしろが多く残っている証拠。 つまり、1年目の角田に求められるのは、目先の成績ではなく、自分に足りない部分を早く見つけ、いかに早くガスリーの長所を吸収して、自らが成長できるかだ。 成長することは、何も1年目のドライバーにとってだけ、大切なことではない。のちにトップドライバーとなった多くの者たちが、頂点に辿り着くまで続け、頂点に立った後もやり続けたことだ。 角田はバーレーンでの開幕戦の目標を「今僕が持っているパフォーマンスをすべて出し切ってミスを恐れずに攻めていけたらいい。そこでミスはすると思うが、そこで弱点がわかる。第二戦以降で改善していけばいい」とした。 そして「今季、ポイントをできるだけ取るようにして、その中で表彰台だったり、優勝はもちろんしたい」とも語る。自らの夢を叶えるには、貪欲に成長し続ける心をいかに持ち続けられるかが鍵となるだろう。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)