「GUCCI COSMOS」(京都市京セラ美術館)開幕レポート。広がるグッチの「宇宙」
1921年にグッチオ・グッチによって創設されたイタリアを代表するラグジュアリーブランド「グッチ」。その大規模展覧会「GUCCI COSMOS(グッチ・コスモス)」が、京都市京セラ美術館で開幕した。 本展は、上海(2022)、ロンドン(2023)に続く世界巡回展。グッチの日本上陸60周年を記念するものであり、日本での開催は京都だけとなる。同ブランドの100年を超える歴史のなかでも、とくにアイコニックなデザインを世界中から集め、没入型インスタレーションとして展開するこの展覧会は、日本においてこれまでにない規模のグッチ展だ。 キュレーターはイタリアのファッション批評家マリア・ルイーザ・フリーザ。セノグラフィーはエス・デヴリン。展示は新館「東山キューブ」から始まり本館にまたがるという、同館でも滅多にない規模の展示構成だ。 マリア・ルイーザ・フリーザは本展について次のような言葉を寄せている。「私にとって、グッチの歴史を探求するこのプロジェクトは、毎回それぞれに独自の視点と新たな発見をもたらしてくれます。100年以上にわたりファッションをはじめとする視覚文化のアイコン的な先駆者であり続けたブランドの物語を、衣服、オブジェ、エレメント、人々、時代背景というじつに多様なレンズを通して伝えるだけでなく、会場のスペースや開催する都市の雰囲気によって変化するエキシビションに取り組むことができるのですから。京都市京セラ美術館のような歴史と格式のある舞台で、新しい解釈やエレメントを加え、より豊かな体験へと再構築することは、とてもやりがいのある挑戦でした。Gucci Cosmosは、グッチの起源と未来を思い描くイマジネーションの力で絶えず革新されていくその歴史の物語を、イマーシブに体験するエキシビションです」。 象徴的な「赤」で彩られたエントランスをくぐると、グッチと日本の「赤い糸で結ばれた関係性」を示す映像が流れている。映像の終わりとともに、グッチの歴史の始まりへと向かう。
文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)